企業の会計監査慣行に大きな地殻変動が起きている。小口株主が相次いで会計法人の監査業務の怠りを理由に訴訟を起こしていることに加え、政府傘下機関の預金保険公社まで大型会計法人を相手取って損害賠償を求める訴訟を起す方針を固めている。
かつてのように会計法人が監査契約を勝ち取るため、企業の粉飾会計に目をつぶったり、監査業務を怠れば、提訴されて破たんの危機に追い込まれるようになった。国内ではすでに大宇(デウ)グループの粉飾会計が発端となって2年前、旧産棟(サンドン)会計法人が廃業しており、米国ではエンロンの不正経理事件とからんで監査を行ったアーサーアンダーセンが破たんした。
金融監督院の崔(チェ)ジンヨン会計制度室長は、「これから会計法人は監査契約を結ぶ段階から企業の内部統制システム、経営陣の資質、過去の財務諸表などを検討し、リスクを減らすだろう。粉飾会計に目をつぶって、ダンピング受注する慣行は姿を消す」と見込んでいる。
会計法人の法的責任が重くなるにつれ、決算監査の際、会計法人と企業の摩擦がさらに深まるものとみられる。会計法人はこれまでに増して厳しい基準を適用し、企業の過去の粉飾会計の内容までまとめて反映するしかなく、したがって企業の純利益は減少することになる。
韓国よりさらに深刻な粉飾会計事態で揺らいでいる米国は最近「会計監督機関」の設置を盛り込んだ会計改革法案を成立させた。李瑾榮(イ・グンヨン)金融監督委員長も、「米国のように別途の会計監督機関の設立を含めたさまざまな方策を検討している」と述べた。
これに対して韓国公認会計士会は、「故意または重い過失による部分に限って責任の追及が行われるべきだ。訴訟の乱発は国内の会計監査市場のマヒにつながりかねない」と反発を強めている。
金斗英 申錫昊 nirvana1@donga.com kyle@donga.com