韓国西海(ソヘ)から亡命した筍鍾植(スン・ジョンシク)さんの家族とともに漁船に乗って韓国入りした機関長の李ギョンソン(33)さんが政府による事情聴取で、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に帰る意向を明らかにし、政府が真意の確認を急いでいることが20日明らかになった。
政府高官は、「機関長の李さんが『北朝鮮に妻と幼い娘を残しており、北朝鮮に帰りたい』という旨を明らかにしたと聞いている」とし、「しかし、李さんが事情聴取を受ける過程で、帰還の意思を覆すなど、決心を変える可能性もあり、最終的な立場が判明するには合同事情聴取の結果を待たなければならない」と述べた。実際に、李さんは一時、北朝鮮に帰還する意思を覆すなど、心理的なかっ藤を起こしているとされる。
このため、政府の事情聴取班は、李さんが筍さんの一行に合流した経緯などを詳しく調べる一方で、航海の過程で李さんが縛られて監禁状態にあったかどうかについても調べている。国家情報院(国情院)の関係者は「李さんが北朝鮮を脱出する途中、監禁されていたのは事実だ。しかし具体的な監禁状態などについては、事情聴取の結果を待たなければならない」と話した。
しかし海洋警察庁は、同日配布した報道資料のなかで「当時、現場に出動した警官たちが一行の漁船に上がって確認したとき、機関長の李さんは操舵室の下の船室で他の一行と一緒にいたし、手足が縛られてはいなかった」として監禁説を否定した。これに対して、別の警察関係者は、「監禁されていたかどうかは知らないが、李さんが筍さんの一行と立場が違うのは事実だ」と述べ、李さんが自分の意思に反して筍さんの一行に協調していた可能性を示唆した。
政府は、合同事情聴取で北朝鮮に帰りたいとする李さんの意思が最終的に確認されれば、北朝鮮側と板門店接触を通じて送還方法などを話し合う方針の模様だ。
成東基 esprit@donga.com