三星(サムスン)電子の李健熙(イ・コンヒ)会長は7月、三星電子の水原(スウォン)事業部とソウル中区太平路(チュング・テピョンノ)の本社で開かれた先進製品比較展示会を見回った後、リモコン技術開発を持ち掛けた。李会長はこの席で、「電子製品の数が多くなり、製品ごとに別のリモコンを使うのは不便なうえ、ボタンの数があまりにも多く機能も複雑だ」と指摘したという。
三星電子の関係者は「会長の指示は世界のトップ商品としての競争力を備えるために、技術開発の対象からは外されているものの、製品を使う消費者には決定的な影響を及ぼすリモコンなどの細かい部分に関心を注ぐべきだということだ」と説明した。
リモコン製作技術は電子業界で、典型的な「ローテク」と思われてきた。そのため、三星電子、LG電子など韓国屈指の電子メーカーだけでなく、ソニー、GEなど世界的なメーカーさえも、リモコン生産はほとんど相手先ブランドによる生産(OEM)方式で中小企業に任せている。
三星電子は、内外のライバル会社に自社のリモコン改善研究を気付かれることを懸念し、厳重な保安を維持している。しかし、大体の方向は、テレビ、DVD、ビデオデッキ、エアコン、扇風機など多様な電子製品に幅広く使える統合リモコンを開発し、複雑なボタン数を減らして使いやすくするということだ。
そのために、三星電子が誇る携帯電話技術を応用し、液晶ディスプレーを通じてメニューが選択できるようにしてボタン数を減らす方法、テレビ内部にコントローラー機能を搭載してメニュー画面を表示し、テレビを通じて家電製品を統合・調整する方法などが検討されている。また、さまざまな製品に使われているリモコンの赤外線周波数チャンネルを選択する方法も検討の対象となっている。
一方、米国のバテル研究所は21日、「10年後、生活の質を画期的に向上させる先端製品」の1位として、あらゆる家電製品と冷・暖房機までコントロールできる「万能リモコン」を挙げた。
李会長は、1995年にも、放送会社が送出する画面がテレビ受像機に表れる時、画面の左右がそれぞれ8ミリずつ切られてしまうことに気づき、改善を指示して「隠された1インチを見つけた」という広告コピーで有名な「名品プラスワン」テレビの誕生に貢献した。
朴重鍱 sanjuck@donga.com