イラクへの軍事攻撃をめぐって米国内で強硬論と慎重論が真っ向から対立するなか、チェイニー米副大統領(写真)は26日、フセイン政権打倒に向けた先制攻撃の必要性を強硬な語調で訴えた。
ブッシュ政権内の強硬派を代表するチェイニー副大統領は、テネシー州ナッシュビルで開かれた海外参戦退役軍人の総会で「イラクが大量破壊兵器を保有しているという事実は疑う余地がない。これを傍観して行動に出ないことは、行動に出た時よりもはるかに大きな危険を伴う」と強調した。
チェイニー副大統領の発言は、これまでのブッシュ政権の要人の先制攻撃発言のなかで最も強力なものであり、最近提起されている議会の攻撃承認論争と共和党内部の慎重論気流に対応するための措置であると理解されると、米紙ニューヨークタイムズが27日報じた。
26日には、ホワイトハウスの高官らが「ブッシュ大統領が法律諮問団から、イラク攻撃の際、議会の承認を受けなくてもいいという報告を受けた」と明らかにしている。
これに対して非難の世論が起こるや、フライシャー報道官は同日夕方に緊急記者会見を開き「ブッシュ大統領は、イラク攻撃の際に議会と協議する」と説明したものの「協議」が「議員投票による承認」を意味するかどうかについては具体的に明らかにしなかった。
チェイニー副大統領の強硬発言と議会の承認論争について、共和党上院議員のアレン・スペクター、チョック・ヘイゲル両議員は27日、「イラク攻撃は、議会の協議を経て決まる事項だ。大統領をさしおいて副大統領が攻撃発言をしたことで、国民は混乱している」と述べた。
ブッシュ大統領は12日、国連総会の演説でイラクへの攻撃についての具体的な発言をするという。
鄭美京 mickey@donga.com