悔いの残らない勝負だった。
敗者の顔にはむしろ満足げな笑みがこぼれ、冷や汗をかいた勝者は安どの胸をなでおろした。小柄で名も知らない東洋の選手が見せつけた粘りの闘魂に2万近い観衆は喝采を惜しまなかった。
1日、米ニューヨークのナショナル・テニスセンターで開かれたシーズン最後のメジャーテニス大会、全米オープン(賞金総額1617万ドル)女子シングルスの3回戦。世界ランキング106位で、予選を通過した趙倫貞(チョ・ユンジョン、三星証券)は、かつて一時は世界頂上に君臨した6番シードのサウスポー、モニカ・セレシュ(29・米国)にフルセットまでもつれ込む接戦の末1−2(1−6、7−5、3−6)で惜しくも敗れた。
趙倫貞は、2000年大会の男子シングルスで李享澤(イ・ヒョンテク、三星証券)が収めた16強の快挙を再演することには失敗したが、今大会を通じて一段階飛躍できる足場を設けた。また、米テレビ局のCBSと香港のスターテレビなどが生中継するなかで強じんな印象を世界にアピールした。
趙倫貞は電話インタビューで、「誰とぶつかってもいい勝負ができるという自信がついてきた。体力とサーブを補強してもう一度大舞台に挑戦してみたい」と話した。
この日、趙倫貞はメジャー大会で9回も優勝したセレシュを迎えて、ミスの数では33−34と対等だった。しかも7ゲームを立て続きにものにする底力をみせるなど、堂々と立ち向かった。
32強進出で3万6500ドル(約4700万ウォン)の賞金を確保した趙倫貞は、140点ほどのランキングポイントを追加し、今大会後には世界ランキングも自己最高の80位前後が見込めるようになった。
趙倫貞は、2日に帰国したあと、ツアー大会のポローオープン(9〜15日・中国上海)とトヨタ・プリンセス杯(16〜22日・東京)に出場し、今月末に開幕する釜山(プサン)アジア大会では金メダルに挑戦する。
2万2647人収容のタジアムで行われたこの日の対戦で、趙倫貞は、初めて踏み入れる巨大な競技場の規模と観衆の声にい縮した様子だった。第1セットを1−6ではかなくも奪われたあと、第2セットに入っても1−5までリードされた。しかし、最後まであきらめない決心で強力なストロークを生かして7−5で逆転勝ちし、勝負を振り出しに戻した。
セレシュは、趙倫貞のパワーフルなダウン・ザ・ラインに拍手を送るほどだった。趙倫貞は、最後の第3セットの序盤まで対等な試合に運んだが、2−3でリードされた状況で、セレシュのサーブゲームをブレークできるチャンスを逃し、追撃の手がかりをつかむのに失敗した。
一方、ビーナス・ウィリアムズ、ジェニファー・カプリアティ(以上米国)、マルチナ・ヒンギス(スイス)など上位シードの選手たちは16強に安着した。
金鍾錫 kjs0123@donga.com