事前の準備も、専門性も不足した水害救援品の分配システムのために、被災者らが苦痛を受けている。
台風15号による水害で、大きな被害を受けた全国の被災者らは、現在、救援品に依存するしかない状況だが、あちこちで救援品がきちんと渡されずにいる。また、渡される救援品は、主にミネラルウォーター、ラーメン、コメなどだが、肝心な炊事道具がないため、無用の長物になるケースが少なくない実情だ。
こうした現象は、事前に多様な救援品を選定する準備作業が不十分であるうえ、一線の行政機関が、被害実態をきちんと把握できないまま救援品を適当に配分していることに起因する。現在、大半の救援品は、社団法人「災害対策協議会」と大韓赤十字社(韓赤)などが、さまざまな団体と個人らから寄付を受けて調達している。
災害対策協議会が普段準備している救援品は、毛布、肌着、運動服など応急の衣類セットと、バーナー、コッヘル、ブタンガス、食器類といった炊事道具セットの2種類。
同協議会の金在鎬(キム・ジェホ)総務課長は「10万個程度のセットを準備してこそ大型の災害に対処できるのだが、基金不足などで、2万セットしか準備できず、届けられる物品も種類が限られていて問題だ」と話している。
現行の寄付金募集規制法によると、協議会などは、災害が発生した後になってこそ、行政自治部長官の許可を受けたうえで寄付金を募集でき、事前に基金を作るのはむずかしい実情だ。
また、救援品を寄付する団体に、必要とされる物品を一々指定するわけにもいかず、団体が決めた物品を受け取っているため、物品の種類が偏ってしまうという。
救援品を配分する行政機関に専門性が不足している点も問題として指摘される。
韓赤関係者は「大半の行政機関の場合、被害実態の把握や救援物品の配分についての専門性が欠けており、その場で適当に分配しているのが事実だ。はなはだしきは事後の監査を意識して、救援品の数量を合せることにばかりきゅうきゅうとしている場合もある」と指摘した。
成均館(ソンギュングァン)大学の張薫(チャン・フン)教授は「災害対策がきちんと行われるためには、災害対策機関を常時運営し、地域別・災害別の特性に合った救援物品を事前に準備するとともに、専門性を備えた救援技術メンバーを養成し、救援品の配分に効率性を高めるべきだ」と話した。
朴民赫 mhpark@donga.com