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[オピニオン]グラウンド・ゼロ

Posted September. 12, 2002 22:56,   

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ブッシュ米大統領は、同時多発テロ1周年を迎え、11日(現地時間)の国民への演説で異例な選択をした。1年前の記憶を呼び起こし犠牲者を追悼するなら、テロの被害となった場所を演説の場に選ぶのが常識であるが、彼はニューヨークのエリス島でカメラの前に立った。理由は、国民に自由の女神を背景に演説する自分の姿を見せるためだった。同時多発テロを「自由に対する攻撃」と見なした張本人として、ぴったりの象徴物を得たわけだ。彼は演説でも「現在も未来も、米国人は恐怖に脅えない自由民として生きる」と強調した。

◆9月11日を忘れないという米国人の考えは、テロと自由の女神を結びつけたブッシュ大統領に劣らない。「グラウンド・ゼロ」と呼ばれる世界貿易センター(WTC)の跡地で一日中開かれた追悼行事は、悲劇を忘れないという米国人の決意を如実に表わした。犠牲者2801人の名が順に読み上げられる間、米国人はどんなことを考えただろうか。110階建てのツインビルに旅客機がぶつかる瞬間に始まった大惨事を思い出し、ブッシュ大統領と同じようなことを考えただろう。グラウンド・ゼロ周辺の建物にかかった「私たちは決して忘れないだろう」という大型プラカードが、米国人の心境をよく表わしている。

◆過去を忘れないという米国人の習性は、ハワイに行けばよく分かる。1941年12月8日に日本軍によって真珠湾が奇襲され、米国人は一斉に「真珠湾を胸に留めよう」と叫んだ。21隻の軍艦が沈没し、347機の戦闘機が破壊され、2409人の軍人が戦死する被害を受けたが、米国人はその日を忘れるのではなく、記憶することにした。約1100人の乗組員とともに沈んだ戦艦アリゾナの沈没地点には、博物館を建てた。そこに行けば、今も犠牲者を思って涙する米国人を目にすることができる。

◆歴史的事件を記憶し、国民的一体感を作るのが米国の力である。真珠湾攻撃を忘れず第2次大戦で勝利したように、米国が同時多発テロを忘れなければ、テロとの戦いでも勝利できるだろう。過去を忘れない習性を考えれば、世界貿易センターが跡形もなく消えグラウンドゼロになったように、テロ犯を最後まで追い詰めるというブッシュ大統領の決意が消えると期待することは意味のないことのように思える。歳月が流れ、グラウンド・ゼロはもう一つの真珠湾になるだろうか。

方炯南(バン・ヒョンナム)論説委員 hnbhang@donga.com