これまで中国政府と共産党の宣伝道具として認識されてきた中国マスコミが、「批判のやいば」をかざし、政府との関係が急速に冷却していると、米紙ニューヨークタイムズが16日報じた。
最近の中国新聞では、政府機関や権力者の側近らの腐敗に関する記事が1面トップ記事に飾られることがまれではなくなった。これは以前なら想像もできなかったこと、と同紙は伝えた。
ニューヨークタイムズは端的な例として、経済専門誌「財経」が最近国営銀行の腐敗を暴露したり、頳小平の親戚がかかわった国営企業不正事件を暴いたことや、ある経済日刊紙が、橋の崩壊事故の死亡者数が政府によってねつ造されたと暴露したことなどを挙げた。
このような中国のマスコミの変化は、この10年間、マスコミに対する政府補助金が減少したことで、収益を上げるためにマスコミが競争して「読まれるニュース」「売れるニュース」を開発、報道したために現われ始めたと、同紙は指摘した。
記者の職業観も大きく変わりつつある。とく名のある記者は「開放の波の中で成長した若い記者たちは、党の考えや指針にそれほどしばられない。彼らにとって最も重要なことは、読者が何を読みたがっているかだ」と語った。
中国政府はこのため、マスコミ統制に悩んでいる。なかでも11月の中国共産党第16回全国代表大会を控え、指導部の交代に関するマスコミの取材を封鎖する非常措置まで講じている。しかし、ここ数年の間に増加したマスコミ社に対し、報道内容をすべて取り締まることが困難なうえ、インターネットによる情報流通を遮断することがより難しいために頭を抱えていると、タイムズはつけ加えた。
金正眼 credo@donga.com