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[オピニオン]犯罪時計

Posted September. 30, 2002 23:00,   

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旧約聖書の創世記には弟のアベルを殺したカインの話が出てくる。聖書に登場する最初の殺人記録だ。人類の歴史は、そのまま犯罪の歴史と言えるほど犯罪は人間とともにしてきた。罪に罰が伴うのは当然のこと。犯罪を処罰し、社会の安定を図るためには、法が必要だった。歴史上、もっとも古い成文法である4000年余り前のスメール法典には特定犯罪に対する処罰内容が載っているという。中国漢書に3項目が紹介されている高朝鮮(コジョソン)の8条禁法も、殺人と暴力、窃盗に対する処罰内容だ。

◆一昨日、警察庁は、犯罪類型別の事件発生の間隔を表す「犯罪時計」を発表した。それによると、今年に入ってわが国では9時間30分置きに殺人事件が1件、1時間30分置きに強盗事件が1件ずつ発生している。強姦事件は1時間30分で、昨年の1時間18分より多少好転したが、放火事件は6時間12分で、1999年の8時間から次第に早くなっている。この犯罪時計は、米連邦捜査局(FBI)が発表している年次報告書を手本にして作成されたものだが、人口10万人に対する全体犯罪発生率で見ると、わが国は西欧諸国に比べて、まだ「安全な社会」だというのが、専門家たちの総評だ。

◆犯罪は、社会によって類型と特徴を異にしている。例えば、殺人・強盗・強姦・自動車窃盗・重暴行・住居侵入・窃盗など、米FBIが規定している7大犯罪のなかで、自動車窃盗や住居侵入は、わが国ではさほど深刻でない項目だ。われわれの場合、鋭意注視しなければならない部分は、最近になって暴行・傷害・強盗・性犯罪など、暴力犯罪の比率が過度に拡大していることだ。韓国刑事政策研究院の崔(チェ)インソプ博士は、「通貨危機のときに急増した経済犯罪の増加率は安定基調に転じたのに対して、暴力犯罪はあたかも通貨危機をきっかけにはずみがついたように増え続けている。これは、わが社会が内部からの腐敗が進行中であるという証拠だ」と憂慮している。「法より暴力が近い」という俗説は、わが社会では、まだ真実に近いと見るべきだろうか。

◆問題は、このような暴力犯罪の爆発的な増加傾向に対する社会の対応が極めて不十分であるということだ。広く見れば、日増しに暴力物を映し出すテレビ放送と「パリパリ(速く速く)」を強調する焦り症の文化も、暴力犯罪が増加する原因になるだろうが、このような傾向に主導的に対応すべき責任は、やはり公権力の方にある。国民が税金を欠かすことなく納めながら国にかける最小限の期待が、まさしく「安全な社会」ではなかろうか。その点で、年末に迫ってきた大統領選で選ばれる次期政権は、犯罪時計を遅らせることにより気を払って欲しい。

宋文弘(ソン・ムンホン)論説委員 songmh@donga.com