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つり輪の金東和、最悪の条件勝ち抜き金メダル

つり輪の金東和、最悪の条件勝ち抜き金メダル

Posted October. 04, 2002 23:12,   

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片方の目だけでも体操ができるだろうか。そんな条件でアジアのトップに上がることができるだろうか。とうてい不可能に見えることを、金東和(キム・ドンファ、26、蔚山中区庁)がやり遂げた。最悪の条件で、不屈の意志と限りない努力で果たした「人間勝利」だ。

4日、釜山社稷(プサン・サジク)室内体育館で行われた釜山アジア大会の体操男子つり輪決勝で、金東和は 十字懸垂と水平懸垂など、高難度の技術をバランスよく演技し9.8点で中国のフアンジュと並んで頂点に立った。これで金東和は、前日に28年ぶりに獲得したアジア大会個人総合での銀メダルに続き、今大会で金1、銀1を首にかけた。

金東和は、先天的な弱視で右の目がほとんど見えない。コンタクトレンズをつけても視力が0.1程度にすぎない。バランス感覚が必須の体操選手にとって片目がよく見えないということは致命的な弱みだ。片目だけでは瞬く間に判断しなければならない距離と角度の測定が難しいからだ。

特に空中での動作を終えて着地する時が問題。バランスを取るのが難しいため減点要因になるうえ、負傷の危険まで抱いている。

彼は、このようなハンディキャップをたゆまない訓練で克服した。自分の着地ポーズを繰り返して頭の中に描くイメージするトレーニングが大きく役立った。代表コーチの韓ユンス氏は「一日7、8時間を着地訓練に注いだ。心理的な問題を克服するのが最も大きな課題だった」と打ち明けた。

彼を悩ませたのは目だけではなかった。昨年11月、ベルギーで開かれた世界選手権大会では、つり輪の演技途中、右側の二頭膊筋が破裂し6時間以上かかる大手術を受けなければならなかった。右腕の痛みは今も彼を悩ませており、大会開幕直前まで薬を服用しなければならなかった。そのだけではなかった。高校2年の時は、手首骨折で骨盤の骨を移植する手術を受けた。

このため、彼はいつも李ジュヒョンやヨ・ホンチョルなどそうそうたる先輩たちに隠れて、注目すべき成績を出せなかった。

98年バンコク大会の床運動で銀メダルを取ったのがせいぜいだった。しかし、苦しいときほどダルマのように起き上がってフロアーに立った彼は、ついに今大会で国際大会初の金メダルを首にかけた。金東和は、「自分が苦しく思っていたときに勇気を吹き込んでくれた両親にすべての栄光を捧げたい。友人である北朝鮮の金ヒョンイルと共に優勝できて一層うれしい」と語り、涙を浮かべた。

26歳は、体操選手としては、ほぼぎりぎりの年齢だが、彼は2年後のアテネ五輪の優勝を夢見ている。暗いトンネルを抜け出した金東和にとって、今大会の金メダルは始まりに過ぎない。



李元洪 bluesky@donga.com