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[オピニオン]公共財

Posted October. 06, 2002 22:11,   

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公共財とは、高速道路、国道、国立公園から交通標識や交通信号に至るまで、政府や地方自治体が住民の便宜のために提供する基幹産業施設やサービスのことをいう。このような公共財は、2つの特性を持つ。マンションのように、民間の企業が建設して分譲するものと違って、政府が提供する国道は、誰もが利用できる。特定地域のマンションの人気が高まれば、価格が急騰して供給量が足りなくなるケースも発生する。ところが、国道のような公共財は、多くの人々が利用できるように、政府が持続的に管理している。

◆国際政治学者たちは、現在の国際体制を米国の覇権体制とみなしている。覇権国の米国は、国際体制において、政府の役割の一部を遂行している。強力な軍事力と世界的な公共財を前面に押し出して、米国中心の国際秩序を維持しようとしている。国際通貨基金(IMF)、世界銀行、世界貿易機関(WTO)は、代表的な経済公共財である。これらは、米国通貨のドルとともに、世界の経済秩序を維持している。軍事公共財としては、北大西洋条約機構(NATO)、日米同盟、韓米同盟などが挙げられる。米国は、こうした公共財の提供に主導的な役割を果たすことによって、米国中心の国際秩序を維持しているのである。

◆民主的な政府は、基幹産業を建設する際には、公聴会のような手続きを経て民心を汲み取っている。民主的な政府は、世論の支持を得て誕生した公共財を国民が愛用し、人気のある公共財を多く提供するほど、次の大統領選と総選挙で勝利する可能性が高くなると信じるからだ。同様に、民主主義を標ぼうする米国も、世界の世論にもとづいた公共財を提供する時、その公共財の人気が高まり、米国中心の世界秩序も長く続くであろうという事実をよく知っている。

◆同時多発テロ以降、世界中のいたるところで多くの人たちがテロリズムの恐怖におののいた。核兵器、生物化学兵器といった大量破壊兵器の脅威に関する認識も一層高まった。米国の覇権体制のもと、米国がテロリズムを根絶させ、大量破壊兵器の拡散防止を主導することもまた、米国が提供する公共財の一部とみることができる。さらにブッシュ政権は、イラクとの戦争という公共財を提供することにした。ところが、これに対する世界の世論は否定的である。このほど、米国の著名な33人の政治学者たちでさえ、ブッシュ政権のイラク戦に反対する声明を、9月26日付の「ニューヨークタイムズ」に掲載している。世論に支えられない公共財は、人気がなくて当たり前だ。そうした公共財を提供する政府や覇権国の政治的寿命の行方に関心が集まっている。

金宇祥(キム・ウサン)客員論説委員(延世大学教授・政治学)kws@yonsei.ac.kr