医師と患者の間に紛争が生じた場合、訴訟に先立ち、必ず調整を経ることを義務付ける調停前置主義が導入される一方、医師の軽い過失については、刑事処罰を免除するなどの内容を盛り込んだ医療紛争調停法案がまとまった。
大統領諮問機関の医療制度発展特別委員会はこのほど、傘下の医療政策専門委員会を開き、先月、提出された医療紛争調停法試案の一部を修正し、10日に予定されている特別委員会の本会議に上程することにしたことを、6日明らかにした。
専門委員会は、不可抗力で発生した医療事故については、国が被害者に対し最小限度の補償を行うことで医療紛争の発生を予防する、という原則には同意したものの、補償の財源は政府と健康保険公団、医療供給者、薬禍事故被害救済基金から共同で拠出することにした。
当初の試案では、国が被害者に対し、国家予算から最高2000万ウォンの補償金を支給することになっていた。
専門委員会はまた、試案の主な争点となっていた項目の調停前置主義について、医療事故被害者の権利をいち早く救済する一方、安定的な診療環境を確立して、紛争に伴う時間的かつ経済的費用を最小化させるために、調停前置主義を導入することにした。
専門委員会は、医療行為の公益的な側面を踏まえて、社会的に非難される可能性の低い軽微な過失に限って刑法を最小限度に適用するという、医師の刑事処罰特例条項の導入に、原則的に賛成を表明した。
このほか、専門委員会は医師が安定的に働ける環境を整え、事故に遭った患者が迅速に損害賠償を受けられるようにする医療賠償共済組合と、医療賠償責任保険制度の導入には、全面的に賛成した。
医療制度発展特別委員会は、法案が本会議で議決され次第、保健福祉部との協議を経てこんどの通常国会に提出する予定。医療紛争調停法は、1995年と97年にそれぞれ政府と議員立法で進められたが、処罰特例条項をめぐって関連省庁間の異見が生じ、成立しなかった。
異鎭 leej@donga.com