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[オピニオン]奴隷

Posted October. 17, 2002 23:08,   

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「デイ・オ・デエイ・オ、デイライト・カム・アンド・ミー・ウォナ・ゴー・ホム・・・」。米国の黒人歌手ハリー・ベラフォンテのファンならば、かれのヒット曲「バナナ・ボート・ソング」のはじめに出てくるこのフレーズを覚えていることだろう。ベラフォンテが甘く語りかけるような優しい声で歌ったこのヒット曲は、西インド諸島の黒人奴隷の労働歌であるカリプソを一躍世界的な音楽ジャンルに押し上げた。この歌が収録されているアルバム「カリプソ」は1960年代に100万枚が売られ、史上初のベストセラー・アルバムとなった。かれが「カリプソのキング」として呼ばれるきっかけにもなった。

◆かれはジャマイカ生まれとして知られているが、実は1927年ニューヨークのハーレム街で生まれた。両親は二人とも西インド諸島の出身。貧しかった父親は妻と子どもを捨て、母親はかれが9才の時に父親の故郷であるジャマイカに送りかえしたためにそこで幼年期を送った。スペインと英国の植民地だったジャマイカは、1830年代に奴隷制度を廃止する前まで、40万人の黒人奴隷が売買された奴隷貿易の中心地だった。西インド諸島の黒人労働者の生活を取り上げた多くの歌を発表したかれの音楽的な感性が、この時代の経験によるということは言うまでもない。60年代から黒人人権運動家、社会運動家として活動し、マーティン・ルーター・キングと肩を並べるほどの名声を積み上げることになったのも、この幼年期の経験と関係なくない。

◆ユネスコの親善大使として活躍したときも、自分と同じジャマイカ系の黒人、コリン・パウエル米国務長官をご主人様に忠実に奉仕していた黒人奴隷にたとえて非難したことで話題となった。ブッシュ米大統領の政策に対する不満をこのように表わしたのだ。8日、サンディエゴのラジオ番組のインタビューで、「奴隷制度があった時代は主人の命令通りに正確に仕事をこなせば、その奴隷は農場の家に住む特権が与えられた」という言葉で、黒人として保守派であるブッシュ政権の高官になったパウエル長官を皮肉った。

◆国務省がこの発言に敏感に反応し、パウエル長官も「奴隷に関する言及は不幸なことであり、また別の時代、別の場所への後退だ」として、「ハリーはその言葉を使う前にもう一度じっくり考えるべきだった」と遺憾の意を表した。だが、ベラフォンテは一歩も譲らなかった。15日のCNN放送のラリー・キング・ライブ・ショーに出演しては、さらにパウエル長官がイラクに対する軍事介入などブッシュ大統領の「名誉あるとは言い難い政策」に反対しないとして、再度非難の矢を放った。そうでなくても、対イラク政策に対する国内外からの激しい反発と非難にさいなまれてきたブッシュ政権が、一筋縄ではいかないこの一人の年取った黒人歌手のためにまた頭を悩ますことになったのだ。

文明豪(ムン・ミョンホ)論説委員 munmh97@donga.com