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[オピニオン]ビビンバ政治

Posted October. 18, 2002 22:50,   

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数年前に来韓した米国の歌手、マイケル・ジャクソンはホテルでよくビビンバをオーダーして食べた。かれは、「韓国料理の中でビビンバが一番おいしい」、「ダイエット食としてもいい」と言った。ビビンバが国際料理として認められつつあるということを目の当たりにしているようだった。米国や日本などにはビビンバのチェーン店までできた。大韓航空はビビンバを工夫して機内食に取り上げ、人気を得ている。6月のワールドカップ大会以後は、ビビンバを求める顧客がさらに増え、最近は外国人が多い欧米路線を中心に、一月平均10万皿が出されているという。ほかの韓国料理とちがって、ビビンバは水気が少なく、国際化するのに最適だというのがビビンバ提供会社の説明だ。

▲ビビンバの由来についてはさまざまな説がある。王様が戦乱を避けて避難していた時、食卓にのせるこれといった料理がなくて、ご飯に野菜のあえ物をのせて出したのがそのはじまりだという。また農繁期の畑仕事の時に、食器が足りなくて器に数々の料理を混ぜて食べたのがそもそものはじまりだという説もある。祭祀に供えた料理をひとつに混ぜて、儀式に参加した人たちと分けてたべたことから、だという主張もある。年配の方々には幼い時、大きな真ちゅう製の丼にご飯を混ぜて、数人もの人がぐるっとかこんで食べた思い出もあるだろう。いま、いくつかの食堂で出される真ちゅう製の丼に盛ったビビンバは、当時をしのぶ思い出の品物だ。

▲ビビンバはキュウリ、カボチャ、ほうれん草、セリなど野菜のあえ物を中心に、各地方の特産物が加わって独特な味を出す。なかでも全州(チョンジュ)、晋州(チンジュ)、海州(ヘジュ)を中心に発展してきた。全州ビビンバは、数々の野菜のあえ物に肉など20種類の材料に、古いしょうゆ、トウガラシ味噌、牛肉の煮込み汁を混ぜて特有の味を出す。食欲のない人も数々の材料が適当に混ざったビビンバを見れば、舌なめずりをせざるをえない。これに濁り酒でもいっぱいひっかければ、これほどの美味はない。

▲韓国未来連合の朴槿惠(パク・グンヘ)議員が政界の息づく間もないほどの離合集散の動きを「ビビンバ式」だと批判した。イデオロギーや政治路線とは関係なしに行われる、最近の韓国政治の勢力伸ばしの現象がビビンバを作るのと違いがないということだ。だが、これはビビンバを侮辱する発言だ。ビビンバに入る材料はそれぞれ特徴があり、これがオーケストラのようにひとつにあわさって独特の味を出すのであって、むやみやたらに材料を多く入れたからといって味が出せるものではない。入ってはいけない材料がやたら入れば、量は増えても味はごった混ぜになってビビンバ固有の味を失ってしまうのだ。おいしくもない「ビビンバもどき」を作り出すいまの政治が、国民の「生活の潤い」という食欲まで奪ってしまうのではないかと気になる。

宋煐彦(ソン・ヨンオン)論説委員 youngeon@donga.com