二人の監督の指導者としての哲学は、彼らが歩んできた人生の道のりほど両極端だ。体重0.1トンの「象」三星(サムスン)の金応龍(キム・ウンリョン)監督が厳しいなかでも気配りを忘れないお父さんと言われるのに対して、「永遠な勝負師」LGの金星根(キム・ソングン)監督は、つまびらかだが、原理原則に徹するお母さんタイプ。金応龍監督が直感に頼る線の太い勝負を好む半面、金星根監督は相手選手のクセまで見抜くデータ野球に明るい。
金応龍監督は、ヘッテでだけ18年の長期政権を振るい韓国シリーズV9の栄光に輝く「常緑の松」だ。しかし、金星根監督は、一度も優勝経験のないばかりか数多く中途解任の逆境をなめて6チームを転々した「雑草」にたとえられる点でも対照的だ。
この二人が、こんなにも正反対の道を歩むようになったのは、1960年代後半にさかのぼる。在日韓国人の左投げ投手だった金星根は、野球が好きで高校卒業後ひょうひょうと単身で祖国行きの飛行機に身を乗せた。しかし韓国語の下手な彼を喜んで迎える人はそれほどなかった。早くも負傷で選手生活を終わらせた金星根は、この時からひたすら野球の勉強にだけすがった。
これに対して、当代最高の右手げ強打者だった金応龍は、釜山商業高校時代から韓一(ハンイル)銀行を経て監督になるまで、常に最高スターとして名をはせた。彼の周囲にはいつも人々がたかり、彼が所属するチームは常に最高のチームとなった。
しかし人は違っても野球はひとつ。二監督は、自身が引き受けたチームの選手たちを一丸に結束させるカリスマ性では共通点を見せている。金応龍監督がムチとニンジンを適切に使って選手団を掌握するのに対して、金星根監督は2軍選手の気持ちにまで気配りしながら自発的な参加を引き出すスタイル。
だが、韓国シリーズチャンピオンの座はひとつだけだ。これから勝負を分けなければならない。王座に9度も上った金応龍監督が再び華やかに復帰するのか、または長い間、野人生活を送ってきた末に初めて挑戦状を突きつけた金星根監督がものにするのか、韓国シリーズの結末が気になる。
張桓壽 zangpabo@donga.com