ゴルフが上手なことと、ゴルフを愛すことの差はなんだろう。
金ソンフムさん(53、放送評論家)を知っている人々ならば、「世界で最もゴルフを愛す女性」だと、ちゅうちょなく話す。
金ソンフムさんのゴルフバックには、他のゴルファーにはない2つの品物が入っている。ビニール袋と草取りかまがそれだ。ゴールドCCの唯一の女性会員である金ソンフムさんが、ここ10年間にわたって、ラウンドの途中、抜き取った雑草は1トラック分は超えるそうだ。鍛冶屋に特別に注文して作った草取りかまの刃が半分はなくなってしまったくらいだ。コースで拾った吸い殻も1バケツは超えるはずだという。
「少しでも、わたしが行くゴルフ場のためになるならという気持ちから始めました。わたしが現れれると、キャディーらがせわしくなります。会員がタバコの吸い殻を拾っているのに、キャディーがじっとしているわけにはいかないですからね」
金ソンフムさんがラウンドの途中、余裕をもって雑草を抜き取ったり、タバコの吸い殻を拾えるのは、優れたゴルフ実力のおかげだ。85年にゴルフを始め、3年でシングルに進んだ金ソンフムさんが話すこの頃のハンディキャップは3〜5オーバーパー(一緒にラウンドする男性らがハンディーをたくさんくれるようにと、せがむため若干、高めるそうだ)。
「記録の女戦士」と呼ばれるくらい、金ソンフムさんが保有している珍記録は華麗だ。1ラウンドで、イーグルとホールインワンの連続(93年、ゴールドCC)、同じゴルフ場の同じホールで10のイーグル(ゴールドCCチャンピオンコース17番ホール)、9ホールアンダー200回以上、総ラウンド回数約1000回…。
こうした実力なのにもかかわらず、金ソンフムさんは正式のアマチュア大会にはほとんど出場していない。
「実力だけでは駄目みたいですね。あらゆる方法でスコアを減らす『大会の選手』らとともにプレーをするのが、わたしの性格には合わないようです」
肋骨(ろつこつ)4本が折れていたのに単なる筋肉痛と勘違いし、筋肉弛緩の薬だけを飲んでいたほど、ゴルフに夢中だった金ソンフムさんが、レディーティーを使用したのは、3年前からだ。最近、ひざの関節が良くないため飛距離が大きく減っているとはいうものの、それでも230ヤードは軽く飛ばす金ソンフムさんが、あえてレディーティーを使用する理由は「目立ちすぎるのもそうだし、男性らの面子もあるから」だという。
金ソンフムさんの願いは、世を去るその日まで健康的にゴルフを楽しむこと。ゴルフをあまりにも愛していて、息子には「わたしが死んだら、火葬の後、骨をゴルフ場にまいて欲しい」と頼んでいるほどだ。
安永植 ysahn@donga.com