「米国よりわずかに少ない年間46万5000人の科学・工学の学生が、大学から輩出されている。北京ゲノム研究所は、コメの遺伝子地図をすでに解析済みだ。7つの半導体工場は、2004年までに世界で2番目に多い半導体を生産する予定だ」
第三者からは、その深さと規模を想像することすら容易ではない、中国の先端科学産業の一面である。江沢民国家主席も8日、共産党の第16会全国代表大会(16代)開会式の政治報告の中で「今後は、情報技術(IT)産業で経済的繁栄を達成する」として「IT立国論」を述べるまでに至った。
20世紀の末、小康(しゃおかん、衣食住から自由な中位の生活)に至るまでの経済成長が、石油化学、鉄鋼などの重工業と、労働集約的な産業の恩恵だったとすれば、2020年までに生産力を再び4倍に引き上げる牽引役は、IT部門が担うべきだということだ。地球全体を覆い尽くすかのように伸びている中国先端科学の勢いは、驚きとしか言いようがない。
▲著しい格差、大きな潜在力〓「世界の工場」として浮上したものの、中国先端産業の土台はいまだもろいのが現状だ。コピーが幅を利かせ、知的財産権を無視する風潮が最大のネックとなっている。ベンチャー企業が資金調達を行う資本市場が、ようやく独り歩きを始めたところであるうえ、ソフトウェアの開発力はインドにも及ばない。昨年の研究開発費への支出額は、米国(2330億ドル)の20分の1にも満たない110億ドルだった。
ところが中国は、すでに独自の衛星を地球軌道上に打ち上げ、有人宇宙船の開発も進めている。この10月、テキサスで江主席と会談したブッシュ米大統領も、中国先端技術の兵器体系への適用可能性を話題にしたと伝えられる。
中国の潜在力を象徴する企業が「国内企業」のインターネット設備を手掛ける華為(ファウェイ)社。ビジネスウィークは、最新号の中で「深圳市に本社を置く華為が、シスコシステムズやノテルといった世界的な企業を相手に受注戦に乗り出し、25〜50%も安い入札価格を記入して、衝撃を与えている」と伝えた。
▲「市場か技術移転か」〓中国の潜在力をさらに高めているのが外国の先端企業。米国など先進諸国は、中国を「長期的な脅威」に分類しているが、企業は13億人の人口を有する市場に、技術と資本を注ぎ込むのに忙しい。
エリクソン、アルカテル、モトローラ、ノテル、ルソント、ジェネラル・エレクトリック(GE)など世界的な企業が、主に合弁投資の形で技術移転をしながら市場拡大を図っている。9月には、台湾半導体が本土に9億ドルの投資を決定するなど、両岸の間の先端交流も活性化の兆しを見せている。
中国政府は、米国で活躍中の4万人の中国系科学者を呼び寄せることにも熱を入れている。
このほど、中国がコメの遺伝子地図の解析に成功したのも「熟練していて安い」研究人材を求めて中国にやって来た米コーネル大学の中国系研究チームに、ゲノム研究所を提供した中国科学院の作品だった。
朴來正 ecopark@donga.com