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[オピニオン]野望と成功

Posted November. 13, 2002 23:07,   

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「難得糊塗」中国人の家に行くと、このことばが貼り付けてあるのをよく見かける。中国清の時代の文人、鄭板橋(1693〜1765年)が初めて使ったことばで、馬鹿なふりをすることは難しいという意味だ。有能でも成功はおぼつかないと言うのに馬鹿なふりをする。だが、この「馬鹿の処世術」を多くの中国人が人生の哲学として受け入れている。生き残りのための偽装術であり、さらに強力な一撃を加えるために相手を安心させる方法でもある。率直さは下手の美徳であるだけで、自分の持ち札をあるがままに見せるのは上手とは言えない。だから孫子は「相手の思惑を表に出させて、自分の思惑は見えないように(形人而我無形)」しなければ勝つことはできないと言った。

◆英国BBC放送が紹介した「中国指導者として成功するための8つの戒律」もはやり一見「馬鹿の処世術」のように思える。そのような行為をしてはいけないという最初の戒律の次が「つまらなければならない(Be boring)」だ。昇進のチャンスが来ても、別の計画や野望があるかのように言わなければならない。上司が危険を感じて取り除かれるからだ。さすが、おとぼけが上手な中国人らしいと笑い飛ばすこともできる。だが韓国の企業でも似たような現象が見られる。最近三星(サムソン)電子が上司に最も好ましい部下の性向をアンケートすると、一位が勤勉な部下、一番ビリがリーダーシップのある部下だった。

◆理由は簡単だ。リーダーシップはリーダーに求められる徳目だからだ。まさに部下に必要なのは勤勉で瞬発力のあるフォローシップ(followship)だと会社は説明している。もちろん、中国共産党の次期指導者が見せる野望と、韓国企業の平社員が持つリーダーシップを同じものさしで計ることはできない。だが、所かまわず支配欲をむき出しにしてはいけないという点で理解を同じくしている。現在、中国の第四世代の指導者として先頭に立っている胡錦濤をつまらないと考えている人はいない。彼の成功秘訣をマキャベリ式に解釈すれば、自分が生きている時代とその時代の中で活動できる流れを読み取って、それに自分を正確に合わせたおかげだ。

◆中国人が馬鹿のように見えても、実はそんなふりをしているだけだという事実に冷や汗を感じた。中国人と取り引きする、どれだけ多くの韓国人がこれに振り回されたか分からない。最近、ブームを巻き起こしているリーダーシップ関連の書籍では、リーダーシップこそ職場での成功の必須条件だと強調している。だが、下手にリーダーのふりをして上司の怒りを買うこともありうるから、本だけを信じてはいけない。世の中は表面に現われたものとは違う。見えるものだけを見て信じて生きていくか、絶えず勘ぐりながら生きていくかは各自の選択にかかっていると言える。

金順鄹(キム・ドクスン)論説委員 yuri@donga.com