今年に入って、大手銀行(都市銀行)が社会整備事業や不動産開発など大規模な事業に長期間にわたって融資する「プロジェクト・ファイナンス(PF)」市場に相次いで参入している。
大手銀行は、このような新しい金融手法を導入して収益基盤を広めたいとしており、PF市場をめぐる競争は一段と激しくなる模様だ。
▲産業(サンオプ)銀行を脅かす大手銀行〓PFの導入に最も積極的な銀行は外換(ウェファン)銀行。同行は、11月18日までに2兆2000億ウォンを融資、すでに昨年の1兆630億ウォンを大幅に上回っている。ハン・サンハン投資金融部次長は「通貨危機以降は構造調整などでPF市場になかなか参入できなかったが、昨年からは積極的にPFを導入している。以前、海外のPFから学んだ手法を積極的に活用している」と話した。
一方、これまでプロジェクトファイナンスをリードしてきた産業銀行は、11月半ばまでのPF融資額が1兆4617億ウォンに止まっている。これについて、李ヒダル投資金融チーム長は「産業銀行は1兆ウォン以上の大規模な事業を対象にPFを行っているため、年度別に起伏が大きい。大手銀行は3000億〜4000億ウォン規模の事業に集中している」と説明した。
昨年は2620億ウォンに過ぎなかった朝興(チョフン)銀行も、今年に入ってすでに7200億ウォンを融資しており、新韓(シンハン)銀行も同期間、2050億ウォンから7540億ウォンに大幅増加した。
▲来年はさらに競争が激しくなる〓大手銀行がPFを積極的に導入しているのは、将来的に安定した収益を確保することができるからだ。
国民(クンミン)銀行のユ・ヒジュン投資金融チーム次長は「PFは資産を安定的に、かつ長期的に運用するため、資産運用コストが少ないうえ、手数料収入も多い」と説明する。同行の李ヒダルチーム長も「民間資本によるインフラ事業は、政府が一定の収益を保証するため、一般の担保融資に比べて安定性も高い」と付け加えた。
しかし、競争が激しくなるにつれ、通常「A+」ランクの3年満期社債金利に対して2%ポイントが適用されていた社会整備事業のPF加算金利が、最近は1.5%ポイントまで下がるなど、収益性が低くなっている。
◆PF〓これまでのように銀行が企業の信用度や土地などを担保に融資するのではなく、事業そのものの採算性をあてにして融資するファイナンス手法。将来の収益力を返済の原資とする。
林奎振 mhjh22@donga.com