生物学者らは、サル、カブトムシ、ショウジョウバエなど動物の世界で、繁殖とは関係のない性行為が行われている現象を観察し、興味深いレポートを発表している。生物学者のブルース・バケミルは、動物450種の同性愛と性転換症(トランスジェンダー)を調査して、「動物の同性愛と自然の多様性」(1999)という本を出版した。アフリカのコンゴで生息するピグミ・チンパンジーは同盟を結び関係を強めるための手段として、大半が同性愛をする。もちろん繁殖のために異性愛もする。ダチョウは100頭あたり1頭が同性愛をしているという研究調査結果が出た。
◆動物の世界でも同性愛とトランスジェンダーがあるという生物学者の研究報告書が発表され、同性愛者やトランスジェンダーを、創造主が与えた性を人工的に変える創造秩序の破壊者または背徳者と見ていた、社会一般の認識に変化が起きはじめた。彼らは異性に対しては愛情が感じられなかったり、肉体的な性とは反対の性で生きようとする気持ちが、精神と態度を支配するよう生まれついたという理論が科学的に力を得るようになった。同性愛者が性的少数者に対する差別反対運動を公けにし始めたのは、生物学者によって動物の同性愛現象が観察された時期と一致する。
◆トランスジェンダーは、肉体的な性(sex)と、態度による性的な役割(gender)が違う症状だという点では同性愛と似ているが、肉体的に生まれついた時からの性に対する拒否感が同性愛に比べてはるかに強い。精神分析医の話によると、トランスジェンダーは幼い時から普通の子どもたちと違った行動を見せるという。生まれついた時からの性と違う性の遊びと服装を好む。女性よりもきれいな「男性」のハリスも、幼い時から人魚姫とオロラー姫の人形集めが好きで、思春期の時には男性になりたい強迫観念から、ガール・フレンドとファースト・キスをしたが、集中できなくて押し返してしまったと告白した。
◆ハリスが戸籍上の性別を女性に変えてほしいという戸籍訂正申請を裁判所に提出した。トランスジェンダーの戸籍訂正申請に対する裁判所の判例は、裁判官と申請人によって違ってきた。彼(女)はトランスジェンダーの手術を受け、出産をできないとしても、外形上には完璧な女性であり、精神世界と態度も女性に間違いない。トランスジェンダーは医学的に非常にまれだが、先天的なものだとする理論が主流となりつつある。心と身が女性に変わった人を、法律上、男性として足かせをはめることは性的少数者に対する多数の抑圧なのではないか、問いただしてみよう。
黄鎬澤(ファン・ホテク)論説委員 hthwang@donga.com