ミサイルを積んだ北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の貨物船がインド洋で臨検を受けたことで、北朝鮮政権が韓国と国際社会に向かって、口では平和を言いながら、実際は大量破壊兵器を拡散し続けていた事実が明るみに出た。韓国にとって、衝撃そのものである。韓半島の北側に、国際社会の人道的支援で、飢えた住民がなんとか生き長らえている状態で、一方ではミサイルを輸出する時代錯誤の政権が存在するという事実は、われわれをぞっとさせる。金正日(キム・ジョンイル)政権は、なぜこんなことをするのだろうか。
現在の国際情勢を見てみよう。大量破壊兵器の拡散に対する国際社会の懸念が、国連決議で結集し、イラクに対する兵器査察が進められている。核とミサイル拡散を防ぐための国際警戒令が下されたのだ。このような状況で、北朝鮮が武器輸出を強行して「現行犯」で摘発されたからには、ただ事ではない。北朝鮮が開発中の核をそのような用途に使わないという保障もない。
北朝鮮は、国際社会を裏切った。貧しい北朝鮮住民に食糧と医薬品を送った温かい人類愛を、破壊と殺傷の兵器輸出で返した。北朝鮮政権が、世界の平和にどれほど脅威的な存在かも、改めてはっきりと確認された。ミサイルの最終目的地が明かになっていないが、北朝鮮が一触即発の危機にある中東の軍備競争をあおっていることだけは確かだ。
北朝鮮はとうとう、行き止まりで米国と相対した。米国は、99年に発表された「アーミテージ・レポート」をもとに、北朝鮮船の臨検など、ミサイル輸出を阻止する案を多角的にもうけ、長い追跡のすえ北朝鮮のしっぽをしっかりと捕まえたのだ。時を合わせてホワイトハウスは、大量破壊兵器の攻撃に対して、核兵器を含む「圧倒的な武力」を動員するという戦略を公開した。米国の決然たる態度からは、核開発を認めることよりも、深刻な影響が予想される。
韓国は第三者ではない。政府の賢明な対応が求められる。事態の推移を見守る必要はあるものの、はっきりと北朝鮮の大量破壊兵器拡散を批判し、姿勢変化を促すことを忘れてはならない。