行政首都移転をめぐる与党民主党の盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補の「ソウル・ダイエット論」と野党ハンナラ党の李会昌(イ・フェチャン)候補の「ソウル空洞化論」の攻防戦が激しく行われている。議論が激しくなるほど、ソウルを中心とした首都圏と忠清(チュンチョン)地域の住民など利害当事者は彼らの主張について疑問ばかり生じるのが正直なところだ。
盧候補は、首都移転を公約にしながらも、首都が移転したとしても50万人規模で、ソウルを離れる人は50万人未満だと述べた。歴史的に韓国の首都は「統治の中心」以上の意味を持っており、今でも「官」として通称される政治、行政の割合は他を圧倒している。果たしてこの人口だけが移転するかは疑問だ。大統領府、政府、国会を移せば、主要企業や金融機関をはじめ、マスコミまでもその本拠地を移さざるを得ない状況になりうる。このため、盧候補は「50万人未満の移住」という数字の算出根拠を提示しなければならない。
また、1000万人を超えるソウルの人口から50万人が移住したからと言って、ソウルの人口過密、交通難、環境問題が解決され、暮らしの質を高めることができると断定する根拠も明らかにすべきだ。首都圏の人口がやや減少して、仁川(インチョン)国際空港からソウル都心のホテルまでの走行時間が大幅に短縮すると考える背景はなんなのかも、やはり質問したい。
李候補の「ソウル空洞化論」もそうだ。100万人が移住するからソウルの住宅価格が急落し、商業が崩壊するだろうという主張は果たしてち密なものなのか。盧候補の主張とは50万人も差があるが、だから大きな波及効果が生じるのか、でなければ心理的な不安のためにそうした現象が発生する、ということなのか明らかでない。首都移転の際に、脱ソウルの人口とソウルの機能変化に対する綿密な検討があったのか、あったならばその内容は何なのか、を提示すべきだ。
いまからでも、盧候補は「前提の違う、効果の違う」首都移転論理の穴について納得の行く説明があるべきで、李候補は当面の首都圏集中と地方空洞化問題を解決するための代案を提示しなければならない。