2001年9月11日、世界は唯一の超大国、米国に対する恐るべきテロ攻撃を目の当たりにした。想像すらできなかった手段や方法で、米国の軍事的・経済的心臓部を直撃した奇襲攻撃だった。誰にやられたのかも分からず、宣戦布告もなかった。そのため、早期警報も予防措置も抑制対策も不可能だった。すべてが不明確で不確実だった。ある人は米同時多発テロについて、21世紀のスタートとともに打ち上げられた「第4世代戦争(fourth-generation war)」の本格的な幕開けを知らせる信号だとも語った。
◆戦争史家は、民族国家が形成された17世紀半ば以降の現代戦争の様相を3段階に分けて説明する。「第1世代戦争」は映画などでよく見る「ナポレオン戦争」のような戦争で、「第2世代戦争」は、長期的に兵力や物資を大量に消耗した米国の南北戦争や第1次世界大戦に代表されると言える。「第3世代戦争」は、相手の意表を突く迅速な動きや奇襲を特徴としており、第2次世界大戦でのドイツ軍の電撃戦を代表的な例に挙げられる。
◆米同時多発テロに象徴される「第4世代戦争」の様相は、軍事力の均衡、抑制戦略、戦術、教育・訓練、装備などすべての面における思考や発想の転換を求めている。これまでに経験した正規戦とはかけ離れている。第4世代戦争には人道主義など初めからない。軍人と民間人、軍事施設と非軍事施設の区分もなければ戦線もない。相手に最大の人的・物的被害や心理的ショック、そして社会的混乱をもたらす手段や方法だけが評価される。こうした意味から「非対称の戦争(asymmetric war)」とも言われ、「汚い戦争(dirty war)」とも言われる。
◆今日、米国をはじめとする国々が「第4世代戦争」対策に多くの関心と努力を傾けている。米国が行っているアフガニスタン戦争やイラクに対する先制軍事攻撃の計画も、結局はこの「第4世代戦争」の脅威を抜本的に取り除くための軍事措置と言える。問題は軍事的手段だけでその目的を達成できるかどうかだ。軍事的手段も必要だろうが、人間爆弾になることも辞さない相手に対して、死ぬよりも生きているほうがずっと価値のあることだということを思い起こさせる努力も行う必要がある。韓国としても、このような新しい時代の挑戦に積極的に備えなければならないだろう。韓国の「第4世代戦争」への対策はどうなのか気になる。
朴庸玉(パク・ヨンオク)客員論説委員(元国防次官)yongokp@hanmail.net