次期政権の国政運営の下絵を描く政権引継ぎ委員会が、きょうスタートする。今回の引継ぎ委員会は3つの点で注目を集めていると言えそうだ。第一に「盧武鉉(ノ・ムヒョン)人事」の最初の作品であり、第二に、改革志向の若手学者たちが中心になっているという点だ。そして第三に、盧次期大統領は、彼らから5年間、国政について諮問を受けると述べていることだ。
まず、論功行賞や地域偏重がなかった点は高い評価に値する。政治家をほぼ排除した「政策引継ぎ委」を志向したことや、新しい人物を大挙起用し、国政刷新への意志を浮き彫りにしたのは建設的だ。主要責任者だけを任命し、残りの人選では彼らの自主判断を尊重した人事スタイルもまた関心を引いている。
不安に思える部分もなくはない。引継ぎ委員各人のビジョンと意欲はあふれているが、実務行政経験がないに等しいという指摘がそれだ。現実と隔たりがある場合や、具体的かつ体系的な実行プログラムが裏付けられない「卓上の政策」を憂慮する声もある。「40代学者たちの引継ぎ委」と呼ばれているほど、過去とは全く異なる人的構成になっているからだ。
政策を執行するための政界との連係や公務員組織との有機的な協調体制の構築がうまくいかないのでは、との見方も出ている。盧次期大統領が述べたように、「大統領と哲学を共有する人たち」で、政府要職に進出する可能性の高い引継ぎ委メンバーたちが公職社会と交わる過程で、もしや摩さつはないだろうか、懸念される。
「改革大統領に安定首相」という盧次期大統領の構想に照らして、引継ぎ委メンバーたちは政府内外で改革の前衛部隊としての役割を果たすとみられる。したがって国政の安定を図る役割を担うことになる既存の公的組織との調和が課題となると言えそうだ。国政運営の組織を2元化したことによる影響を最小化するための対策も講じられるべきだろう。
引継ぎ委のアマチュアリズムに対する憂慮と不安を解消するためには、現場の生き生きした声をたくさん聞き入れ、政策の実現可能性を綿密に検証しなければならない。改革を安定的に進めるためには何よりもバランスを失ってはいけない。