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北朝鮮のNPT脱退、核の広がり招く恐れも

北朝鮮のNPT脱退、核の広がり招く恐れも

Posted January. 10, 2003 22:15,   

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核不拡散条約(NPT)という枠組みによって維持されてきた国際社会の核兵器抑制の仕組みが脅かされている。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発に立ち向かうため、日本を核武装させるべきだとする極端な主張が米国内の一部保守派から出されており、ブラジルの新左派政権の閣僚は、公開的に核保有の必要性を提起した。国際社会では10日、北朝鮮のNPT脱退宣言が、NPT体制に不満を示してきた一部の国の核保有への意志をさらにあおるのではないかと懸念するムードが強まっている。

▲日本核武装論〓読売新聞は10日、「核開発を進めている北朝鮮に対する抑制策として、日本を核武装化させなければならないという主張が、米国内の保守勢力によって提起されている」と報道した。

同紙は、「少数派の極端な主張ではあるが、今年に入って、こうした主張が引き続き出されている。これは北朝鮮の核問題がイラクとは異なって、軍事的な方法では解決が難しいうえ、ほかの打開策もないためだ」と分析した。

実際、ワシントンポスト紙のコラムニストのチャルス・クラウサーマーは、「日本カード」というタイトルの3日付けのコラムで、「北朝鮮の核問題解決に対する切り札はなさそうだが、日本の核武装化というカードが残されている」と指摘した。

米共和党のジョン・マッケイン上院議員も5日、米国のテレビ番組に出演し、「日本が北朝鮮から核の脅しを受けるようになったからには、日本の核開発に反対し続ける名分がない」と述べた。

保守色の強い研究機関、ケート研究所のカーペンター研究員は、6日発表した論文で、「北朝鮮に対して『北東アジアで核の優位を確保できる』という考えは間違っているという事実を知らしめる必要がある。日本、ひいては韓国も核武装を行うべきだ」と主張した。

しかし、読売新聞は「多くの専門家が、日本の核武装について、『中国、台湾などを取り巻く地域対立の激化や世界的な核の広がりにつながりかねない』とし、反対の立場を示している」と強調した。

▲ブラジル〓ブラジルのロベルト・アマラル科学技術長官は、英国BBC放送との会見で、「南米最大の国、ブラジルは、核兵器生産能力を有するべきだ」と述べた。

この発言について、1980年代の中盤まで、ブラジルと核開発競争を繰り広げていたアルゼンチンをはじめ近隣諸国が深刻な憂慮を示したことを受け、ブラジル大統領のスポークスマンは、「われわれは、各分野について、もっぱら平和的な目的の研究だけを支持する」と釈明した。

しかし、ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ大統領は、大統領候補だった昨年9月、退役将軍との会合で、「NPTは、米国と従来の核保有国にだけ有利な不公正な条約だ。自分たちは大砲を持っていながら、私たちには手で石を投げろって言っている」とNPT体制を厳しく批判した経緯がある。

ブラジルは、1964年から1985年まで続いた軍事政権時代に核兵器開発計画を進め、南米で一番進んだ核技術を保有していたが、1988年、憲法に核保有禁止条項を新たに加え、1995年にNPTに加盟した。

▲インド〓NPTに加盟せず、核兵器を開発したインドは9日、核装着能力を持つ地対空短距離ミサイルの発射実験に成功した。インド政府は、飛距離が500マイルのこのミサイルを、中国とパキスタンの核脅威に対する中核的な抑制手段として保有する計画だと、ロイター通信は伝えた。

▲揺らぐNPT〓10日、北朝鮮がNPT加盟国の中で初めて脱退を宣言したことを受け、国際社会はNPT体制の無力さと代案のない現実を改めて実感している。

国際社会の悩みは、NPTを脱退したり、加盟を拒んでも、公式的な懲戒手段がないということになる。もちろん、国際共同体からの孤立、国連決議など、ほかの手段で不利益を与えるのが不可能なわけではないが、「脱退の決定は、主権国家が行える権利だ」として、NPT規定に明示されているため、脱退そのものについて法的・制度的に制裁を加えるのは難しい。

米国、ロシア、英国、フランス、中国の5カ国による核の保有は認めているNPTの「不平等な仕組み」に対する非難について、国際社会は明快な反論を示していない。

合わせれば、約4万個に達する、地球をこん跡もなく吹き飛ばせるほどの規模の核弾頭を保有しているこれら5カ国のほかに、パキスタンとインドがNPTへの加盟を拒んだまま、独自の核開発を進めて、核の強国となっている。イスラエルも、NPTに加盟しないまま、100個余りの核弾頭を保有しているとみられる。北朝鮮、イラク、イランは、NPTに加盟していながら、ひそかに核兵器の開発を進めてきた疑惑を受けている。



李基洪 hanscho@donga.com sechepa@donga.com