警察庁は、警察が検事と同等な資格で捜査できる「全面的な捜査権独立」案を内部で決め、政権引き継ぎ委員会に提案することにした。
警察庁の高官が10日、明らかにしたところによると、検察と警察は現在の捜査指揮関係を改めて位置づけ、「けん制と均衡」という枠組みを維持する必要があるとして、そのためには犯罪の軽重によって、警察が一部の捜査権だけ行使する「制限的」ではなく、検事と司法警察官が捜査を行ううえで、同等なレベルで活動できる「全面的捜査権」を警察に与える案をたてたという。
さらに「現在検察が警察を規制しているさまざまな条項を改正、廃止することも不可欠だ。同等な捜査権を与えることに対して、反対する検察の論理に対応するための準備もすでにできている」と付け加えた。
警察庁は15日、こうした案を、引き継ぎ委に報告する時に提案する予定だ。
警察庁は、捜査権独立について「捜査権の主体は検事」と規定されている刑事訴訟法195条を「捜査権の主体は検事と司法警察官」に改正することを提案する予定だ。
また捜査指揮に関する規定である「司法警察官は、検事の指揮を受けて捜査を行わなければならない」(刑事訴訟法196条、検察庁法53条)は、「検察と警察は互いに協調、補完する関係で捜査を行う」に変えることにした。それで検事と司法警察が同等な地位で捜査を行うことができるよう要請することにした。
しかし警察庁は、日本の警察の場合のように、検察が持っている令状請求権、捜査終結権などは求めない方針だ。
検察と警察が同等な地位で捜査を行う場合「警察の捜査事務や情報報告の義務」(司法警察官の執務規則11、12条)は自動的に廃棄され、「司法警察官の服従義務」(検察庁法53条)なども死文と化すものとみられる。
警察庁はすでに、捜査権独立に備えて、司法警察官と行政警察官を分離し、捜査の専門性を強化する具体的な実践策もたてており、捜査幹部については独立した地位を与える案も確定したという。
これに対し、ソウル地方検察庁のある部長検事は「警察が検察の捜査指揮を受けないというのは法治主義に反することだ。ドイツやフランスなどの先進法律国家で検察制度を作った趣旨も、捜査権が正しく行使できるように、法律家団体に指揮監督の権限を与えている」と話した。
最高検察庁のある検事も「警察が検察と同等な立場で捜査権を行使する国は、世界にも類を見ないことであり、事実上、検察の実質的な指揮統制を受けている。警察が捜査権を独自に行使する場合、人権侵害などの副作用がさらに深刻になるだろう」と話した。
李相錄 sys1201@donga.com myzodan@donga.com