盧武鉉(ノ・ムヒョン)次期大統領の政権引き継ぎ委員会と経済界とのかっ藤が再び水面上に浮上しつつある。
10日付の米紙ニューヨークタイムズに、全国経済人連合会(全経連)の金奭中(キム・ソクジュン)常務理事が「引き継ぎ委の目標は社会主義」と述べたことが報じられた後、引き継ぎ委が釈明と責任のある措置を要求するなど波紋が広がっている。
ニューヨークタイムズが「大統領当選の後、韓国企業を安心させるための諸措置」との見出しのもと報じたところによると、金常務は引き継ぎ委について「経済政策に関する限り、非常に危険かも知れない。彼らは(経済)システムについて、非常に急激な変化を望んでいる。それらが目指しているのは社会主義だ(Their goal is socialist)。われわれは、それを心配している」と述べている。
これについて金常務は12日「次期政権が社会安全網(Social Safty Net)を強化しそうだと話した経緯はあるが、社会主義者と話したことはないと思う」と否認した。金常務は「記事を書いたドン・カーク記者に会って、訂正するよう要請したい。急激な改革を進めれば危険だというニュアンスの話はしたと思うが、わたしのコメントが全経連の正式な見解ではない」と釈明した。
全経連は「物議をかもし大変申し訳なく思っている」としながらも「事実でないことが判明しただけに、引き継ぎ委に正式の釈明を伝えたい」との立場を表明している。
しかし、引き継ぎ委側は「金常務の釈明は納得できない」とし、このまま見過ごせないとの考えを明確にした。引き継ぎ委の鄭順均(チョン・スンギュン)スポークスマンは「単なる失言ではなく、非常に意図性のあるコメントと思われる。全経連は金常務のコメントについて、その真相を把握し、万一問題がある場合は、それに相応した措置を取るように要請したい」と述べた。
▲潜在する火種〓今回の事件は、単なるハプニングというよりは、財界と引き継ぎ委側が互いに持っていた不満を端的に示したものである可能性が高い。
全経連加盟会社の大企業は、盧次期大統領と引き継ぎ委が進めている証券集団訴訟制度、相続・贈与税の完全包括主義、金融機関系列分離の請求制度、出資総額制限制度の維持などについて、内部的に強く反発しているが、表向きにはこうした立場を表明せずにいるだけだ。彼らは、盧次期大統領が「経済政策の一貫性を保つために、衝撃的な措置は取らない」との考えを示すなど数回にわたって財界を安心させるためのコメントをしているが、不安感を払しょくできずにいる。
引き継ぎ委も同様だ。これまで財界の批判や不平についての対応をなるべく自制してきたが、今回ばかりは次期政権の政策に対する根拠のない財界の批判をぜひ正しておきたいとの構えであるようだ。
▲当惑する経済界〓経済界は今回の事件で引き継ぎ委と全経連のかっ藤が深まり、企業に悪影響を及ぼすことを懸念している。
三星(サムスン)グループの関係者は「次期政権の経済政策をめぐって、非常に緊張している状況で、行き過ぎた表現を使って、政府と財界に不必要なかっ藤を与える必要はないと思われる」とし、金常務のコメントについて間接的な批判の意を示した。
経済団体のある関係者も「いまは政府と財界が緊張感のなか、互いに気を使っている状況だ。新しくスタートする政府と大企業の間にトラブルがあるように思われれば、韓国経済に対する不安感が広がる可能性がある」と指摘した。
申然鐏 朴重鍱 ysshin@donga.com sanjuck@donga.com