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清楚な感じの鄭京和、明るく冴えわたった感じの金誌妍

清楚な感じの鄭京和、明るく冴えわたった感じの金誌妍

Posted January. 21, 2003 22:52,   

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日常の言葉が時には、一句の詩のように感じられる場合もある。車の中で聞く天気予報で、「遠海はなごやかでしょう」というコメントを耳にすると、鼻がじいんと痛くなって、フランクのバイオリンソナタ・イ長調が心の片隅に流れる。どうしてか説明しろと言っても、言いようがない。一度聞いてみてとしか。

数年前にある音楽誌で、「韓国人の演奏家が最もよく演奏する作品」を調査したことがあった。その時、室内音楽の分野で堂々とトップに上がったのがフランクのバイオリン、ソナタ・イ長調だった。音楽記者の記憶でも確かにこの曲は、最も多く演奏される曲の一つだ。バイオリンだけでなくチェロ、フルートでもよく編曲されて演奏された。ただ、理解しがたいのは、愛好家の立場ではこの曲が室内楽の人気ナンバーワンではないということだ。

演奏者がことさらこの曲に愛着しているのだ。その理由は何なのか。あるフルート奏者は、「頻繁な変調がこの作品に格別な魅力を与えている」と語った。一般の鑑賞者にはよく理解できない言葉だろう。だが、フランクの変調は確かに単なる音階が変るということとの他に、別のレベルで精神が触れ合い交感する、特別な次元の経験を提供している。

この曲の推薦レコードはアナログ時代の鄭京和(チョン・キョンファ)氏とピアニストのラドゥ・ルフ氏との共演レコード(デカ、77年録音)。そして、デジタル時代の金誌妍(キム・ジヨン)氏とピアニストの江口玲氏のレコード(デンオン、94年録音)だ。これらには、いたるところで非難の目が向けられているようだ。「グローバル化時代に国粋主義のものは望ましくない」という叱咤の声も聞こえるようだ。

私は別に、それでも構わない。この曲が「コリア・ナンバー・ワン」というのが私の意見だ。もちろん、金誌妍氏の全てのレコードが好きなわけではない。ただ、二曲だけ上げるとすれば、この曲とサン・サンスの協奏曲3番だ。間違いなくこの二曲は、「エキストラ・スペシャル」クラスだ。

鄭京和氏のフランクは清楚な感じだ。しっとりとした品のあるビブラートを持つ魅力ある音色でゆったりとアプローチする。ルフのピアノもよく抑えられている。

反面、金誌妍氏のフランクは豊かだ。特有の明るく冴えた感じの健康なトーンで引き締めたり緩めたりしながら心を奪う。最後の締めに向かってテンポを上げて走らせる部分では、「私は生きている。明日はもっときれいな一日になる」と語っているかのようだ。

これらは金誌妍一人だけが成し遂げたものではないだろう。江口玲氏の伴奏部分は時には怒濤のように押し流され、時には玉のように非常に和やかなトーンで流れながら、金誌妍氏が作り出した曲の起伏をよくサポートしている。弓にスポットが当たって、きらりと光っているような透明な録音の質も申し分ない。



劉潤鐘 gustav@donga.com