昨年12月、司法試験合格者の発表を知らせる新聞記事の見出しは「女性のパワーアップ」だった。主席、最年少、最高齢合格者が全て女性で、女性合格者の数も史上最高の24%に上昇したためだ。今年司法研修院を終了し、予備判事に任用される110人のうち54人が女性のため、法曹界でも女性の勢いは依然強く、医師、教師のような他の専門職でも女性の進出が大きく増えている。先の大統領選挙では、高級官僚に女性を20%から50%まで割り当てるという公約が出され、次期政権は相当分野で公約を実現する見通しだ。
◆様々な事情で滞ってはいるものの、韓国の潜在経済成長率が7%台だという主張には、家事や育児に縛られている女性人力の活用に対する積極的な評価が一役買っている。経済成長だけでなく自己実現という側面でも、女性に働き場を与えることは、国民半分の暮らしの質を高めるのに非常に重要だ。だが、いくつかの専門分野だけに限らず、全ての領域で女性が参与するにはまだ程遠い。
◆先進国では年齢とは関係なしに女性の経済活動参加率が60%水準を維持している。ところが、韓国はその割合が約50%である上に、出産と育児に追われる25〜34歳の年齢になるとそれさえも急激に落ち込んでしまう。不十分な子供の保育施設のために、出産による経済活動離れは避けられない、というのが主な理由だ。不十分な働き口、社会的な差別に加えて女性就職の足を引っ張る要因ともなっている。昨年6月現在、全国に2万1267カ所の保育施設があったが、満2歳までのえい児を主に預かる所は156カ所。障害児専門は66カ所に過ぎない。えい児・幼児保育法には、常時女性勤労者300人以上の事業所には職場保育施設を設けるようにとしてあるが、約2万カ所の施設のうち職場保育所は1%にも満たない。
◆出産率が世界最低水準の1.3人に落ち込み、このままでは非生産人口の扶養が大きな負担になるだろうとの警告が相次いで出ているが、その低い出産を支える保育施設が非常に不十分で、逆にこれが出産忌避を促しているのだ。テレビのある人気コメディ番組の方言コーナーで、「私はあなたを愛しています」を「俺の子生んでよ」と言って観客を爆笑させた。さらに「双子生んでよ」と叫ぶ慶尚道(キョンサンド)男子の素朴な愛の告白に呆然とする。しかし、堂々と自己主張するモダンな女性が要求するのはこれではないだろうか。「うちの子面倒見てよ」。
朴仁濟(パク・インジェ)客員論説委員(弁護士)ijpark2356@hanmail.net