Go to contents

[オピニオン]警報ベルに鈍い国

Posted February. 24, 2003 22:32,   

한국어

人間がかかるほとんどの病気は、私たちの体に向けて異常信号を送るサインのようなものだ。賢い人はそれを予防の機会にするが、そうでない人はこのサインを無視し、結局は病気を深刻化させる。

痛みはその代表的なサインである。単純な保護本能として感じる痛みもあるが、疾病と関わる場合もある。そのため医者たちは、痛みが続く場合は、まず病気に対する警報である可能性を念頭に置くようアドバイスする。痛みは菌の浸入を監視したり傷の拡大を防ぎ、身体を保護する非常に重要な警報システムであるのだ。

◆国や社会、個別の集団、さまざまな施設などにおいても、同じことが言える。災いが生じる前に、警報ベルが鳴らされる場合は少なくない。組織員たちが感じなくても、関連専門家が危機の兆候を見つけ出して、警報を発することもある。12年4月、2228人の乗客を乗せて航海する途中に沈没し、1523人の死者を出したタイタニック号の大惨事もそうだった。専門家たちは船が出発する前に、予定している航路に氷河が現れると警告した。しかし船舶会社は、船体の下部はいかなる衝突にも耐えられる鋼鉄で作られており、さらに16の防水区域が設計されているためなんら問題はないとし、航海を主張した。

97年、韓国が通貨危機に見舞われ、国際通貨基金(IMF)の管理体制の下に置かれる前に、韓国の内外では、韓国経済の危機に対する警告が相次いで行われた。しかし、韓国政府は「経済基盤がしっかりしており、心配はいらない」という言葉ばかりを繰り返した。それも同じ失策であると言わざるを得ない。

◆数え切れないほど多くの命を奪ってしまった 大邱(テグ)地下鉄放火事件も、警報ベルさえきちんと鳴らされたら防げる事件であった。そのことが残念でならない。 火災の発生直後、大邱(テグ)地下鉄の機械設備司令室の状況版には、火災を示すメッセージが表示され、非常ベルが鳴った。しかし、関係者らは通常起こる誤作動だと判断し、これを無視したため措置を取るのが遅れ、結局大惨事につながった。橋やビルが崩壊し、大規模な交通事故が相次ぐ「事故王国」の裏には、警報音に鈍くなってしまった韓国社会の恥ずかしい一面があるのだ。

◆今日、発足する 盧武鉉 (ノ・ムヒョン)政権から、いつどのような警報ベルが鳴るかは、現段階では誰にも分からない。大規模な事故に限ってのことではない。国政運営の過程で、専門家やマスコミなどによる問題点の指摘も、一種の警報ベルだ。このような警告を重く受け止めれば、試行錯誤は当然減ることになるだろう。医者たちは、病気を治療するより、予防するのがさらに重要だと話している。最近、「予防医学」が脚光を浴びているのはこのゆえんである。国家運営も例外ではない。改革であれ、国政であれ、危機が生じないよう備える政府を期待したい。盧武鉉 (ノ・ムヒョン)政権の5年間に渡る課題は、まさにこれである。

宋煐彦(ソン・ヨンオン)論説委員 youngeon@donga.com