26日の午前10時30分、大韓(テハン)劇場では、ちょっと変わった試写会が開かれる。同日、披露する作品は映画ではなく、KBSが創立特殊ドラマとして製作したTV文学館の「かんばしい井戸の話」。
最新の音響施設が備えられた映画館で映画でもない、テレビドラマの試写会を開くのは、この作品がデジタル放送用で制作された「先端ドラマ」だからだ。
高画質(HD)級で製作され、画質がDVDより優れているだけではなく、音響もホームシアターに使われる5.1チャンネルで製作されている。このため、映画並みの生々しい臨場感を感じることができるというのが、KBSドラマ局のアン・ヨンドン主幹の説明だ。
▲まだ、「形だけのデジタル放送(?)」〓サッカーファンの金・テシキ氏(36)は、昨年のW杯の期間に、思い切ってデジタルテレビを買った。 W杯の期間には、選手たちの汗のしずくまで生々しく見られる高画質を、思う存分楽しんだ。しかし、 W杯が終わった後は、デジタルテレビのだいご味が楽しめるプログラムがあまりないというのが、金氏の不満。
放送委員会は、昨年から地上波放送局が、1週あたり10時間以上(今春のプログラムの改変からは13時間以上) HD級のプログラムを製作することを義務付けている。
しかし、放送局は、まだ費用の負担から HDならではの持ち味が生かせる自然ドキュメンタリーやドラマよりは、朝の放送用トークショー製作などに、HDの製作率を合わせている水準だ。
このため、これまでで国内にデジタルテレビ113万台あまりが普及したが、デジタル放送が視聴できるテレビは11万台あまりに過ぎない。これは、デジタル放送を視聴するためには分離型の場合、デジタル放送受信機(セットトップボックス)を別途に買わなければならないが、これまでは消費者らが主に分離型のデジタルテレビだけを購入し、セットトップ・ボックスの購入は先送りしているためだ。受信装置を内蔵した一体型を購入すればすべての問題が簡単に解決できるが、一体型に対する関心はなお少ないのが現状だ。
▲03年はデジタル放送が本格化する元年になるだろうか〓情報通信部(情通部)は今年が、デジタルテレビの普及とともに、実際にデジタル放送の視聴できる世帯の数が大きく増えるものとみている。
情通部のイ・ジェホン放送衛星課長は、「100万ウォンを超えていたセットトップ・ボックスの価格が30万〜40万ウォン台に低下した上、パソコンに設置してからデジタルテレビにつなげさえすれば、セットトップ・ボックスがなくても、デジタル放送が視聴できるHDテレビの受信カードが16万ウォン台のものが出た。今年12月までは、デジタル放送を視聴する世帯数が40万世帯に急増するだろう」と展望した。
また、放送局がHD級で製作したプログラムが量的に増え、プログラムの水準が質的に改善されているということも、消費者のデジタル放送へのニーズを高めるものとみている。
一方、一部ではデジタルテレビの放送方式をめぐって、現在の米国方式を中断し、ヨーロッパ方式を導入すべきだと主張している。しかし、その主張の妥当性についてはさておいても、すでに米国方式が「標準」になった以上、これを覆すことは難しそうだというのが、専門家たちと業界関係者の展望だ。
▲デジタルテレビは第2の携帯電話〓三星(サムソン)電子やLG電子など、国内のメーカーは、昨年、海外市場にデジタルテレビを79万台、金額基準では9億6400万ドルを輸出した。とくに、デジタルテレビの最大の市場である北米地域では36万台を輸出、15%の市場シェアを占めている。いまだに、市場シェアではソニーなど、日本のメーカーに立ち遅れている。
しかし、技術力では日本のメーカーより進んでいるため、アナログテレビで遅れをとっていた惜しさが克服できたわけだ。
国内のメーカーは日本のメーカーにに比べ、デジタルテレビの中核部品であるディスプレー部門で強みを持っており、液晶表示装置(LCD)や、プラズマディスプレーパネル(PDP)プロジェクションなど、すべてのディスプレーを直接生産しているため有利だという。
とくに、米政府が04年から始め、07年まではすべてのテレビのデジタル化を義務づける方針であることから、米国市場は巨大市場として浮上する見通しだという。このため、10年までに米国だけで1億台の買い替え需要が予想されている。
実際、今年になって輸出増のテンポははかなり速い。業界のある関係者は「1、2月の輸出の業績が昨年同期間の3倍にのぼっている。このような勢いなら、今年20億ドルの輸出達成には問題がないし、それ以上も可能かもしれない」と見込んでいる。
情通部は、05年までは国内マーカーのデジタルテレビの生産規模が、内需と輸出を合わせて570万台で、世界市場の22%を占め、日本のメーカーとしのぎを削るものとみている。
孔鍾植 kong@donga.com