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イラク攻撃で破綻寸前の古代遺跡 世界考古学界が懸念

イラク攻撃で破綻寸前の古代遺跡 世界考古学界が懸念

Posted February. 27, 2003 22:02,   

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チグリス・ユーフラテス川流域のメソポタミア地域は、世界史教科書の最初の単元に登場する。5500年前に人々が都市を建設して住み、文字を使っていた人類文明の発祥地。

米紙ニューヨーク・タイムズは25日、「先端兵器が古代の都市を攻撃し、盗掘屋が水を得た魚のように活躍し、考古学的な発掘作業は中断されるだろう」と、米国のイラク攻撃によって破綻寸前の状態に追い込まれている世界の考古学の危機を伝えている。

すでに欧州の研究チームは数ヵ月前から発掘を中断しイラクを離れた。アッシリアの首都だった「ニネベ」の発掘作業も、無期限延期された。シリアとヨルダン南部のトルコも同じような状況。戦争が早く終わるとしても、発掘が直ちに再開されるのは期待薄だ。エジプトの研究者たちは、イラン−イラク戦争の当時、中断されていたイランの遺跡の発掘作業を、いまだに再開できずにいる。

イスラエルでも、30あまりの米研究チームが進めていた発掘作業が中断されており、残りのチームも数週間内に引き揚げるものとみられる。

考古学者らは、また、戦争によって遺跡地が破壊されかねないことを懸念している。1954年のハーグ条約によると、遺跡地を攻撃目標にすることはできない。米国は、この条約に署名したが、まだ批准はされていない。

考古学者らは最近、米国防総省を訪問し、イラク内の古代遺跡地を標した地図を手渡した。「イラクは、全国土が遺跡地も同然なので、気をつけて攻撃しても文化遺産への打撃は大きいだろう」という指摘も一緒に伝えた。米国務省は、このような憂慮を受け入れ、戦後のイラクの再建計画に考古学分野を含めている。

戦争の混乱につけこんで勢いづく盗掘屋も悩みの種。湾岸戦争の際にも、遺跡地の爆撃はほとんどなかったが、博物館と発掘現場の略奪が深刻だった。

北部イラクの古代アッシリアの遺跡地にあった彫刻品は、ばらばらになって国外に流出した。

マサチューセッツ芸術大学のジョン・ムルコムロセル博士は「米国は文化の再建に向けて費用をかけなかったため、略奪者たちに金鉱を提供したも同然だったアフカニスタンでの経験を繰り返してはならない」と警告している。



金承眞 sarafina@donga.com