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[オピニオン]国税庁長

Posted March. 03, 2003 22:28,   

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1980年代、ある国税庁長は、机を大統領府がある方角に置いた。机に向かえば、大統領府に対することができるようにしたのだ。国税庁長は、ただ大統領の指示を受けるという姿勢で働くためにそうしたという。国税庁は、政府の職制上では財務部傘下の機関だが、実際のところ国税庁長が財務部長官の指示に従ったことは、これまでほとんどなかったようだ。財務部を「国税部財務庁」と格下げる言葉まであるほどだから、十分に見当がつく。

◆国税庁長には、大統領の心中を推し量れる側近人物が任命されるのが慣例だった。第三共和国時代には、主に朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領のような軍出身が、国税庁長を務めた。1966年に財務部のある部署から国税庁に独立してからは、いわゆる軍出身の「革命主体」が庁長に任命された。その後、第五共和国初期には、全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領の陸軍士官学校の後輩らが、国税庁長として莫大な権力を握った。第六共和国以降になって、国税庁出身の官僚らが庁長に任命され始めた。しかし盧泰愚(ノ・テウ)元大統領と同郷のTK(大邱慶北)出身が大半で、金泳三(キム・ヨンサム)元大統領の時には、PK(釜山慶南)出身が多かった。マスコミへの税務調査を行ったが今は海外逃避中の安正男(アン・ジョンナム)元庁長は、金大中(キム・デジュン)前大統領と同郷である。

◆大統領の側近の実力者らが国税庁長に登用されたことで、恐らく国税庁の力が強くなり、政府内における地位も高まっただろう。しかし、国民の立場からみると、国税庁が権力によって堕落したと言うしかない。税務調査、税務査察など、できないことのない国税庁の権限が、権力者の政治的、個人的な目的のために「奉仕」する権力の下僕に転落したなら、それこそまさに堕落ではなかろうか。権力が変わって真っ先にすることが、政治ライバルをターゲットにした税務調査であった。過去の現代(ヒョンデ)グループや浦項(ポハン)製鉄に対する特別税務調査が、代表的な例だ。マスコミに沈黙を強要するために行った税務調査も例外ではない。

◆歪んだ国税庁の姿が、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の登場でどのように変わるか関心を引く。盧大統領が「昔は、政権のために敵を調査して選択的に権限を行使するなど力があったが、これからは、大変で取るに足らない地位になるだろう」と述べたからだ。そのためか新しい国税庁長には、大統領と親しくもなく出身地域も異なる人物が内定された。国税庁が本来の役割を果たすには、大統領も国税庁を利用してはならず、国税庁長も不当な権力の要求に抵抗できる勇気を持たなければならない。米国でも権力の無理な要求があったが、国税庁長の多くが圧力に屈しなかったという。国税庁の換骨奪胎を期待する。

朴永均(パク・ヨンギュン)論説委員 parkyk@donga.com