金振杓(キム・ジンピョ)経済副首相の法人税引き下げ発言の翌日、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が「待った」をかけたことは意外である。新政権の経済政策に対する国内外の信頼が落ちはしないか心配である。政権引き継ぎ委員会副委員長を務めた金副首相と盧大統領が、基本的な経済政策でこのように食い違いをみせるのは深刻なことだ。
法人税引き下げ問題は、新経済チームの事実上初の政策である。金副首相の法人税引き下げ方針は、凍りついた企業の投資心理を目覚めさせ、景気低迷を防ごうとする意図にみえる。このような政策に対して盧大統領が「待った」をかけた背景が、一体何であるのか気になる。もし分配優先政策を好む大統領府政策チームの反対のせいなら、経済政策が今後十分に推進されるか、憂慮を禁じえない。
階層間、集団間の利害関係に縛られる経済政策は、公正で慎重に決定されなければならない。今回の法人税引き下げ問題が、一部の市民団体の見解によって左右されるような印象を与えることは望ましくない。盧大統領が「財政経済部の真意が誤って伝わったようだ」と「待った」をかけたことも、経済チームの立場に制約を課すような印象を与える。
法人税引き下げ問題は、利害関係に縛られ、一気に結論を出すことは困難な点もある。企業の競争力を考えれば、東南アジアなどのライバル国より法人税を下げなければならず、租税の公平を考慮すれば、法人税だけ下げることができないのが現実だ。したがって、法人税を下げても、租税の公平を下げない案を導き出すことが政策担当者の役目である。
経済政策は、選択である。特定階層に恩恵が与えられることもあり、逆に不利益が与えられることもある。すべてを満足させることはできない。政策担当者らと国会が、国民の立場で事案の軽重と緩急を判断して決定することである。世論に耳を傾ける一方、専門家たちの意見も尊重しなければならない。いま韓国経済は、成長、物価、国際収支など、全てで困難な危機局面を迎えている。経済政策までもが、あやふやな態度を見せてはならない。