米−イラク戦が開戦して4日目である23日午前5時50分。一群の乗客がまだ夜明け前の仁川(インチョン)国際空港の入国15番ゲートを通過した。
エジプト・カイロを出発し、アラブ首長国連盟(UAE)のドバイを経て仁川空港に到着したこの乗客たちは、韓国人102人とアラブ人など外国人71人。乗客たちの顔には「死地」から脱出したという安堵感より、いつ職場に戻られるか知れない惜しさがはっきりとうかがえた。
彼らがこの日乗って来たKE902旅客機は、韓国では唯一中東路線を運航している大韓航空の最後の航空便。大韓航空は戦争が勃発したため、この路線を最小限1カ月間、閉鎖することにした。
この日帰ってきた韓国人の大半は、イラン、UAE、エジプトなどイラク周辺国家で働いていた商社マンと建設会社の職員たちだ。
米軍の戦時指揮部が設けられたカタールの建設現場から撤収した現代(ヒョンデ)建設所属の労働者5人は、「1日も早く戦争が終わって、再び現場に戻りたい」と口をそろえた。
UAEとイランなどで土木建設工事をしているA建設の金代表(59)は、10人余りの職員を先に安全な所に待避させた後、最後に帰国した。
金氏は、「普段、中東をよく往来するが、ドバイ空港の検索が今回のように厳しかったことはなかった。クツはもちろん、ベルトまで全部解いて検査を受けなければならなかった」と話した。
この日には、中東地域に勤めていた大韓航空の職員20人余りも皆撤収した。彼らは、「まだ危険地域を出られなかった韓国人が多いはずだが…」と心配もしていた。
ドバイで滞在していた、この旅客機の事務長は、「ドバイでは連日、反転デモが続けられたこと以外には、別に戦雲が感じられなかった。中東路線の臨時閉鎖が決められたことから、現地での航空券予約率はいつもより高かった」と言った。
大韓航空の中東路線の臨時閉鎖によって、今後、中東に行き来するためには、しばらくはタイ航空またはUAE航空など外国の航空会社を利用するしかない。
しかし、政府はこれと別途に、現地の僑民たちの航空需要が増えた場合、特別チャーター機を急派する方針だ。
朴喜梯 min07@donga.com