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[オピニオン]プライベート・リンチ

Posted April. 03, 2003 22:28,   

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1999年3月に米国のクリントン大統領(当時)は、国防長官や北大西洋条約機構(NATO)連合軍司令官と電話でやりとりし、ボスニアで墜落したステルス機のパイロットを救出する作戦をホワイトハウスから直接指揮した。ステルス機が墜落した時にパラシュートで脱出したパイロットは、重武装したユーゴ軍がいる森の中で電波信号を送り、元気な姿でヘリコプターで救助された。米国人に大きな感動を与えたこの話は、3年後「ビハインド・エナミー・ラインズ」(敵陣の中で)で映画化され、米同時多発テロで愛国心が高まった社会ムードに合わせて上映された。

◆戦争は、映画の馴染みの素材である。銃弾が飛び交い砲煙が立ちこめるなかで、英雄が誕生し、看護婦と負傷兵の間でロマンスが花開く。スティーブン・スピルバーグが監督した「プライベート・ライアン」は、44年にフランス戦線で行方不明になったニ等兵を救出する話だ。息子4人を戦地に送り、うち3人が死亡、残った息子1人を探して母親のもとに帰らせるために、8人の特殊部隊員がドイツ軍とし烈な戦闘を繰り広げる。ライアンニ等兵を捜し出したが、彼は故郷に帰ることを拒否して戦地に残る。ハリウッドが「安物の感傷主義」という批評を受けながらも、このような意味ある映画を好んで撮るのは、米国の国民感情にぴったり合い、収益になるからだ。

◆イラク戦争で、映画よりも劇的な救出作戦が成功した。ナシーリヤ附近で道に迷い、イラク軍の攻撃を受けて捕虜となったジェシカ・リンチ米陸軍上等兵は、米中央情報局(CIA)の支援を受けた特殊部隊員の電光石火のような作戦によって救出された。米軍司令部は、若い19歳の女性兵士の消息を素早くマスコミに伝え、英雄を切望する米国人の心を満たした。米軍は、真夜中に作戦を行ないながら救出作戦のシーンを撮影し、テレビで公開した。一部だけを公開したが、「プライベート・ライアン」よりも多くの観客を引こうという宣伝戦を考えたのだ。

◆米国は北朝鮮と長い間交渉を行なって、90年代初めに朝鮮戦争で戦死した米軍の遺体208体を受け取り、その代価として現金200万ドルを支払った。97年には、米軍350人が死亡した平安北道雲山郡(ピョンアンブクト・ウンサングン)で、行方不明になった兵士の家族も同伴して、遺体発掘作業を行なった。一兵士の命と遺体を大切にする国の軍隊で、若い兵士たちは命を捧げて国家のために戦う。米軍は「戦争の英雄を決して敵陣に放置しない」というテーマが、ハリウッドで作り出されたノンフィクションのシナリオではないことをイラク戦争でも確認させてくれた。

黄鎬澤(ファン・ホテク)論説委員



hthwang@donga.com