マフィアはスパゲッティ、ピザとともにイタリアの3大輸出品だという笑い話がある。マフィアはイタリアのシチリア島が数世紀もの間無法状態にいた時に、不在地主たちが強盗から土地を保護するために作った小規模の私兵組織「マフィエ(mafie)」から始まった。引き続く外勢の支配下で、マフィアが根強い生命力を持つようになったのは、シチリア住民がお粗末な公的正義の代りに、マフィアが提供する私的正義に頼ってきたためだ。20世紀初めに、米国に移住したイタリア・マフィアが血なまぐさい戦争を経て、犯罪世界の支配権を奪ってからは、「マフィア」は犯罪組織を指す普通名詞になってしまった。
◆ロシア・マフィアはイタリア・マフィアとは関係なく、旧ソ連のゴルバチョフ大統領時代にできた。ゴルバチョフ大統領の経済改革措置によって、民営化する国営企業の払い下げ事業が莫大な利権として登場した時のことである。冷戦の終息とともに、軍隊やKGBの大規模な人員削減で、がっしりした兵器に手慣れた失業者が道にあふれ出た。国営企業の払い下げを受けて莫大な利権を勝ち取った事業家が、退役軍人やKGB職員を私兵組織として傍に侍らせるようになって、自然にマフィアとして発展したのだ。ロシア・マフィアは、旧体制の崩壊で新たな法秩序が立て直される以前の空白状態に乗じて速いスピードで勢力を増やしていった。
◆ロシア経済の40%を支配するマフィアは、腐敗したロシア官僚と同業するケースが多いという。フランスのル・モンド紙は最近、クレムリンとマフィアのコネクションを暴露する記事を報じた。特別な経歴がなかったウラジーミル・プーチンが情報機関長を経て、エリツィンによって首相に任命されるまで、エリツィンと親しいマフィア・ボスの力が大きかったという報道もあった。ロシア・マフィアは1998年ルーブル貨の暴落以降吹き荒れた経済危機をきっかけに、海外進出に拍車を加え、現在約200団体の組織が北米、南米、イスラエル、東欧を基盤に世界58カ国で活動している。
◆北朝鮮の核開発参加学者の亡命説に登場する南太平洋の小島ナウルはロシア・マフィアのマネーロンダリングの基地だ。ロシア・マフィアがナウルで洗濯する資金は、ロシアの年間輸出額より大きいとか。ロシア・マフィアがロシア船舶の往来が頻繁な釜山(プサン)湾を根拠地に麻薬、銃器密売、人身売買などの罪を犯している中、今回は銃撃殺人事件まで起こした。ソウルのナイトクラブで水着姿で踊る女性の中にはロシア国籍が少なくない。彼女らのバックにもロシア・マフィアがいるという。手放しで喜べないロシア産の輸入品だ。
黄鎬澤(ファン・ホテク)論説委員 hthwang@donga.com