「心の中に怒りを秘めた中年男性を最もうまく表現する俳優」。
米紙ニューヨーク・タイムズは20日付で、中堅俳優アル・パチーノ(63)が主演した映画「ピープル・アイ・ノウ(People I Know)」の25日の現地封切りを控え、彼をこのように表現した。この映画で、アル・パチーノは「好調な時代」とは縁がなく過労に苦しむ企業の広報担当者エリー役に扮する。
アル・パチーノがこのような役をするのは初めてではない。ニューヨーク・タイムズ紙によると、アル・パチーノは「シー・オブ・ラブ」(89年)以降、「夢の香り」(92年)などの多くの映画で「ピープル・アイ・ノウ」のエリーのような一貫したキャラクターを表現してきた。
その一貫したキャラクターとは、「大きな挫折を経験し、人生に疲れた中年男性」である。「夢の香り」のフランク、「恋のためらい/フランキーとジョニー」(91年)のジョニー、「インソムニア」(02年)のウィルなど、これまでのアル・パチーノの役は外見では多様に見えるが、実はまるで同じ公演のいくつかのエピソードのように一貫性があるというのだ。
しかしアル・パチーノの本当の魅力は、表面上の疲れ(Fatigue)の下に強烈なエネルギーを吹き入れられていることだと、ニューヨーク・タイムズ紙は分析した。アル・パチーノが見せる「疲れをしらない、力溢れる」疲労は、内面から沸き立つ怒りのように観客に受け入れられるというのである。
「ゴッド・ファーザー」(72年)のマイケルでも、このような点はよく現われている。マイケルは、冷たく知的な目で他者を見つめる姿の奥に、押えつけられた情熱を表現している。映画史上屈指の「真の悲劇性を持った偉大なキャラクター」はこのように誕生したのだ。
ニューヨーク・タイムズ紙は、この老齢の俳優が依然として観客の関心を引く理由について、「心の中にはまだ熱い情熱を持ちながら、挫折した中年男性の人生行路がどんなものであるのか、彼を通じて確認したいからだろう」と分析した。
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