３０、４０代の女性なら誰もが知っている漫画が「キャンデー、キャンデー」だ。「寂しくても悲しくても私は泣かない」と言うほど明朗な孤児少女キャンデーが、恋に落ちて別れる過程でより強くなるというストーリーだ。キャンデーに夢中になっていた当時の女子生徒は、初恋のアンソニーの優しさなのか、不良少年テリウスの反抗的な魅力なのか、いつもキャンデーを見守っているウィリアム（アルバートと同一人物）の「足長おじさん」のような愛なのかをめぐって、誰がより素敵なのか口論になることもあった。漫画ではあるが、長い髪のテリウスが一番ハンサムで、今も歌手シン・ソンウやサッカー選手の安貞桓は、テリウスというニックネームで呼ばれる。
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◆出版から２か月足らずで２０万部が売れた小説「あいつはカッコよかった」のチ・ウンソンも、テリウスと似ている。高校の不良サークル「４大天皇」のボスであるほど、リーダーシップもあり、タフであるが、女性よりきれいな美男子だ。この小説を書いた１８才の少女作家グィ・ヨニ（本名イ・ユンセ）は「インターネットでの連載中、女子生徒のファンはチ・ウンソンがカッコイーと大騒ぎだった。昔も今も女の人は、背が高くて金持ちで、不良グループのボスのような男性を好んでいるようだ」と話した。母が「あいつ…」を読んで娘に「昔のことが思い出される」と話すことも多いという。
◆違いはある。キャンデーはテリウスとの愛が結ばれず、悲しみにくれるが、「あいつ…」のヒロイン、ハン・エウォンは違う。５年後、二人は「同棲」する 。なぜ二人を結婚させないのかという質問に、グィ・ヨニは「そんな男と結婚すれば一生を駄目にしてしまうでしょ」と答えた。恋愛相手はカッコよい「あいつ」にしても、結婚は能力のある男性としなければならないというわけだ。また彼女は、今時の１０代は、男の友達とのキスぐらいは十分できると思っており、女子生徒にだけ「強要」する純潔教育を受けながら、心の中では笑っていると話してくれた。問題は、親がこのような１０代の変化に気づいていないということだ。
◆ 既成世代 は「グィ・ヨニ現象」を快く思っていない。 「あまりにも幸せ〜。このままで死ぬことができるなら。 ㅜ_ㅜ ア、だめ。 −_− おなか空いた」といったインターネットのチャットをそのまま移したような、漫画のせりふを並べたような、文学とは言えないものが爆発的な人気を得ていることに作家は絶望する。読書に耽ることができなくて、考えが浅はかで、我慢できない１０代を懸念する声も高い。青少年の唐突な恋愛遊戯を憂える声もある。しかし２０年余り前、テリウスが好きだった少女も今は母になって、子育てに専念して立派に生活している。家庭の月であり、青少年の月である５月、家族がお互いを理解し合うためには「あいつ」のような小道具を活用することもよさそうだ。
金順鄹（キム・スンドク）論説委員 yuri@donga.com
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