盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が韓米首脳会談を行うため米国入りした11日、米ワシントンポスト紙は待っていたかのように、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記に関する特集記事を載せた。内容はもちろん否定的な評価一色だ。
米国の有力紙が盧大統領の訪米に際して北朝鮮の指導者を「残忍な独裁者」と描写した長文の記事を掲載したのは、偶然とは考えにくい。「核兵器を保有し、全世界をちょう弄している独裁者は容認できない。金正日総書記についての認識を改めるように」とのメッセージを盧大統領あてに送ったのではないだろうか。
米ニューヨークタイムズ紙も同日「米政府はイラク戦で北朝鮮指導者を脅かす方法を習った」という内容の刺激的な記事を載せた。盧大統領を歓迎する記事を期待してはいなかったものの、米主要メディアが約束でもしたかのように「危険な北朝鮮」を浮き彫りにさせているのだ。金総書記を批判するという間接的な方法で、盧武鉉政権への反感と警戒心を示した米マスコミの態度を、深刻に受け止めなければならない。
米政府の雰囲気も尋常でない。パウエル米国務長官は海外に出張中だ。韓米首脳が北朝鮮の核問題や在韓米軍の再配置など重要な外交懸案について話し合うというのに、担当長官が盧大統領の訪米期間中、外国に出かけているというのも通常のことではない。米政府が、代表的なハト派であるパウエル国務長官と盧大統領の会う機会を意図的に遮断したのではないだろうか。
米国の冷たい態度は、韓米両国間に生じた対立と誤解の産物だ。今回の首脳会談は、韓国に友好的でない米世論の方向を修正する契機にしなければならない。幸い盧大統領は昨日「米政府や国民の疑問を解消したい」と念を押した。ブッシュ大統領との首脳会談だけでなく、一部の米国人らを対象にした演説と公営放送PBSテレビとの会見など、予定されたすべての機会を活用し、不信の解消に最善を尽くさなければならない。
米世論が動かない限り、韓米同盟関係の完全な回復はむずかしい。盧大統領を反米主義者と考えている米国人一部の認識を是正する責任は盧大統領自身にある。