明日に向かって走る。
チームこそ解散したものの、希望は失われていない。明日への希望があるからこそ、彼らは決して今日を諦めない。
17日、仁川(インチョン)ドンマク市立ローラー競技場。全身に汗だらけの5人が久々に手を取りあった。金(キム)ジェグァン(24)、朴(パク)ジンホン(29)、白(べク)スンフン(26、以上ロシニョール)と朴ギョンウン(34、ロールカップ)。2003KHLのセミプロ、インライン・ ホッケーリーグのロシニョール対ロールカップ、その試合終了直後のことだった。スタンドに座っていた李(イ)ギルヨン(27、BNホッケー)も加わり、互いの肩を叩いて挨拶を交わした。
彼らは、数ヵ月前まで人気絶頂のアイスホッケー選手だった。現代オイルバンカースの、ひとつ屋根の下で苦楽をともにした間柄だった。そんな彼らのもとに「親会社の経営難によりチームを解散する」との知らせが飛び込んだのは昨年12月のこと。20人あまりの選手たちは一斉に失業者となって、結局離れ離れに去って行った。
「とても辛かったですね。小学校のころからアイスホッケー一筋でしたから、いざできることもできなかったし…、先行き真っ暗でした」
白スンフンと朴ジンホン、李ギルヨンたちは、アイスホッケーの韓国代表まで経験している。チーム解散後は、名残惜しさと空しさから、運動をあきらめほかの職業を探そうとしたが、10年以上もの間、肌身放さず大事にしていたスティックを手放すことはできなかった。
失意の中にあった彼らの耳に、4月初旬、インラインホッケーリーグ発足の知らせが入った。最近、インラインスケートの爆発的な人気に便乗してロシニョール、ロールカップ、BNホッケー、ディッブスの4チームが発足した。インラインホッケーは、スケーティングに多少違いがあるものの、アイスホッケーと類似した点が多い。
「スポーツは私たちのすべてでした。だから、諦めることはできませんでした。アイスリンクではありませんが、それでもスティックを握り続けることができただけでも幸運です」
彼らは、現代オイルバンカース時代、3000万〜4000万ウォンの年俸を受け取っていた。ところが、ようやくスタートしたばかりのインラインホッケーでは、試合手当の5万ウォンが全部。1年間の年俸といっても100万足らず。家計を支えるにはとてもおよばない金額だ。
それでも、妻と3人の子どもをもつ朴キョンウンと新婚の朴ジンホンが、インラインホッケー行きを決めた。続いてほかの選手たちも加わり、これまで合わせて7人がインラインホッケー入りした。
「インラインホッケーはアイスホッケーに比べて場所と装備の制約がゆるいほうです。それだけに関心も高いですね。インラインホッケーのプロ化に向けて、頑張ります」
社会デビュー1年目にしてチーム解散の辛酸を味わった金ジェグァンは、今年6月チェコで開かれるインラインホッケー国際大会の韓国代表に選ばれた。この大会で良い成績を上げて、インラインホッケーブームを起こしたいという覚悟だ。
「今の身分を考えると不安もありますが、それでも心配はしていません。私たちには明日への希望がありますから」
彼らはインラインホッケーのプロ選手となる日を夢見ている。その夢があるからこそ、今日の日は辛くないのかも知れない。
李元洪 bluesky@donga.com