米経済に陰りが見えている。各種の経済指標が改善する兆しが見られない上、米国内でテロが起きる可能性が大きくなったからだ。さらに、最近「ドル高」政策を事実上廃棄したことによる後遺症が、金融市場全般に陰を落としている。
▲活力を取り戻せない米経済〓ブッシュ大統領が勝ち戦を宣言したのは今月1日。しかし、戦争の不確実性が取り除かれており、原油価格も1バレル=30ドルを割り込んだここ20日間、米経済は期待とは裏腹にはっきりとした回復の兆しがみられなかった。
供給管理協会が発表した製造業指数は依然として伸び悩み傾向にあり、物価はむしろ低下しているため、デフレ危機への懸念の声が大きくなっている。19日(現地時間)コンファランスボードが発表した先月消費者信頼指数は改善の兆しをみせたが、景気先行指数は先月に比べわずか0.1ポイントの上昇に止まった。現在よりも先行きへの不安が大きいことをものがたっている。
▲テロという不確実性〓イラク戦争以降、イスラム過激派が犯したものとみられるテロは1、2週間内にサウジアラビア、モロッコ、パレスティナなど、中東とアフリカの米国人施設に集中した。米本土ではまだテロが発生していないが、ブッシュ政権は本土でのテロの可能性がいつにもまして高まったと警告している。テロの不確実性を戦争の不確実性に置き換えた格好だ。
経済専門家たちは、米経済が活気を失った今、米本土でのテロは最大の悪材料になるだろうと口をそろえている。 シン・ミンヨンLG経済研究院研究委員は「急激なドル安と株安など、全世界の金融市場がすぐ影響され、消費と投資マインドが冷え込むだろう」と予想した。
米経済の失速は、内需が落ち込んでいる状況で、対米、対中輸出でやっと支えられている韓国経済に直ちに悪影響を及ぼすに違いない。
▲「もろ刃の剣」のドル高政策放棄〓先週末、ジョン・スノー米財務長官の「ドル安の容認」発言は更なるドル安につながり、ドルは20日、東京で1ユーロあたり1.1740ドルまで下落したのに続いて、続落の可能性をみせている。
「ドル高政策」の放棄はデフレの危機に立たされて、米製造業の景気を立て直そうとする米政府の苦肉の策。しかし、投資家たちが為替差損を憂慮し、ドル立て資産を大挙して売り込めばかえって悪材料になりかねない。19日のニューヨーク証券市場は3月24日、技術株の暴落以来、最大の下げ幅になり、このような憂慮を反映した。
朴來正 ecopark@donga.com