経済が総体的な乱調を見せている。当初5%台との見通しを見せていた今年の経済成長率が3%台に下落するとしている。金利の引き下げを行っても消費や投資が回復する兆しが見えない。クレジット・カード会社や銀行の不良経営の可能性、不動産投機の兆し、不安な労使関係など爆発力を持つ悪材が一つ二つではない。不渡り企業の数は急増し、青年失業も深刻な状態だ。
なのに、政界は来年の総選挙に気を取られて、経済は眼中にないようだ。与党は新党立党をめぐる内紛で、野党は新しい代表選出問題で揉めている。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領も就任以来、経済問題に対する関心表明が相対的に少なかった。そうしている間に国民の家計はどんどん苦しくなってきている。
韓国は「一人当たり国民所得1万ドル」という魔の高地にさしかかっている。多くの国がこの時点で先進国へ飛躍できずに座り込んでしまった。韓国も90年代末、1万ドルちょっとを超えた時に通貨危機で座礁した経験を持っている。国民の犠牲と努力でやっと1万ドルを回復したが、再び岐路に立っているのだ。一段階上り詰めれば一流国家に合流することができ、もう一度怯んでしまったら永遠に二流国家にとどまるかも知れない土壇場だ。
こんな時に大統領が先頭に立って経済に腕まくりしている様子を見せなければならない。訪米外交を通じて米国との関係を回復したのだから、もはや経済に専念すべき時だ。世界経済の軒並み景気減速にドル安という荒波を乗り切るのは、そうたやすいことではない。盧大統領が国政の最優先課題を経済に置き、直接乗り出せば経済主体は勇気を持てるようになるだろう。
盧大統領は訪米期間中、米国の経済人に韓国経済を積極的に説明する経済外交を行った。国内でもそうした姿を見せつけるべきだ。大統領が経済現場の声を直接耳にし、政策当局の実務者と悩む姿を見せれば、心理的にも少なからず経済の役に立つだろう。来年の総選挙で勝利を願うとすれば、現在最も急務な課題である経済を改善させることだ。