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ベル研究所「あのころが懐かしい」

Posted May. 28, 2003 21:14,   

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世界的権威を誇る米国のベル研究所が衰落の道を歩んでいる。

1100人に及ぶ研究所内の科学者の数は400人に減り、3億5000万ドルにのぼっていた予算は1億1500万ドルに減少した。生態学と心理学、経済学を専攻する科学者たちはみな解雇された。市場のニーズに屈してしまったのだ。

1925年当時、長距離電話会社AT&Tの付設研究所としてスタートしたベル研究所は、80年近い歳月ものあいだ、数々の発明と発見を通じて人類の暮らしと文明を豊かにしてきた、米国で最高の権威を誇る研究所である。AT&Tの分割にともない情報通信装備会社ルソントの付設機関となった同研究所は、ルソントの経営業績悪化により、人員と予算を大幅に削減している。

米ウォールストリート・ジャーナルは23日、ベル研究所の衰落は、米国の基礎研究分野で起きている変化を象徴していると報じた。以下はその要約文。

基礎研究分野に対し、70年代まで全体予算の3分の2を支援してきた米政府は次第に比重を下げており、その空白を民間企業が埋め合せてきた。ところが、厳しい国際競争と収益を重んじる株主たちの影響力が強まるにつれ、民間企業も基礎研究への関心が薄れている。ゼロックス社も、昨年パロ・アルト研究所を分社化して自救策を講じるよう注文を出した。ベル研究所の場合、その意味がますます骨身に染みているようだ。

マサチューセッツ工科大学(MIT)のベスト総長は「これは国家的悲劇だ。ベル研究所は、これまで数十年間遠い未来を見据えて研究に取り組んできたばかりでなく、最も優秀な科学者たちを雇ってきた」と語った。

トランジスターとファックスマシーン、VCR、通信衛星、レーザーなど、ベル研究所が開発したり基礎技術を提供した数々の発明品は、20世紀における人類の技術開発の歴史と一致している。65年、天文学者のアルノ・ペンジアス氏とロバート・ウィルソン氏は、地球軌道を飛行する物体とラジオアンテナ間の交信が撹乱する現象に目を付け、宇宙が大膨張を通じて誕生したとするビッグバーン理論を初めて発表した。ベル研究所は、2人をはじめ合わせて6人のノーベル賞受賞者を出した。このような研究は、科学者たちが「会社がなぜ自分たちの研究に資金を提供しているのかわからない」と冗談を言えるほど、市場のニーズにとらわれない自由な研究を保障して初めて可能なことと言える。しかし、これからは情報通信関連分野に研究を優先させなければならない。

ベル研究所のウィリアム・オシア所長は「現実は、経済的にゆとりのある分だけ進歩できるものだ」と語った。一時期2870億ドルだったルソントの市場価値は、現在105億ドルに過ぎず、13期連続の赤字を記録している。



洪銀澤 euntack@donga.com