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「私にも起こりうる」ホラー映画がやってくる

「私にも起こりうる」ホラー映画がやってくる

Posted May. 29, 2003 22:11,   

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#どうしてホラー映画が多いか?

去年の夏、ホラー映画『フォン』は韓国映画界の関心をホラー物に変えるきっかけとなった。

『フォン』は17億ウォンの「低予算」で制作されたが、全国で観客220万人を動員した。これによって、去年の夏以降、韓国映画界にはホラー物のシナリオが多く見られるようになった。特にコメディー映画にとらわれすぎた国内映画界が素材の枯渇に突き当たり、ジャンル開拓の一環としてホラー物に関心を傾けた。

『鏡の中に』の製作会社キプラスフィッチャズのハ・フェリョン企画室長は、「これまでホラー映画市場は脆弱だったが、『フォン』を通じて商品性が検証された。少ない製作コストで高付加価値を生み出すことができるホラー映画に投資者たちの関心が集まっている」と話した。

これまで韓国のホラー映画はあまり関心を持たれなかった。97年『私はあたながこの夏にしたことを知っている』、『スクリーム2』など米国のホラー映画の興行後、韓国映画界にもいわゆる『スラッシャームービー』(Slasher Movie・殺人魔が登場人物を無差別的に殺す映画)の製作ブームが起こった。00年『はさみ』、『ハピ』、『狙われると死ぬ』などだが、こうした映画はすべて興行に失敗した。

#残忍な映像より、陰惨な雰囲気

今年の夏、国内ホラー映画の題目はそれほど怖くない。『アカシア』は純情的メロを、『4人用の食卓』は穏かな家族映画を連想させる。『女子高怪談』シリーズの三作目も『狐の階段』に題目を変えた。ずいぶん前に封切られた『わな』、『爪』、『狙われると死ぬ』などの薄気味悪い題目とは程遠い。

『薔花紅蓮(チャンファン・ホリョン)』は粹で高級な家の風景を演出するために、28億ウォンのうち、8億ウォンをセット製作費に投入した。小道具はすべて高価な骨董品を借りたり、買ったりしたものだ。制作会社の「ボム」は「一分の狂いもなくよく整頓された家が極度の恐怖を作り出す」と話した。

こうした映画は「スラッシャームービー」とは異なる。流血が多いショッキングな映像より、陰惨な雰囲気の演出に焦点を合わせる。ある人の過去や幽霊が見える超能力に苦しむ主人公の話を取り上げた「4人用の食卓」にも血の出る場面はほとんどない。

祥明(サンミョン)大学映画学科の趙熙文(チョ・ヒムン)教授は「悪魔と天使の対立構図である『スラッシャームービー』は『善が悪を懲罰する』という西欧キリスト教的な色彩がベースとなっている」とし、「韓国の基本情緒は『恨(ハン)』であり、『恨を抱いた寃魂』を慰める内容のホラー映画がもっと説得力を持つ」と話した。

#どうして家族か?

こうした映画が家族の悲劇を描いている点もおもしろい。『薔花紅蓮』は継母と幼い姉妹の話を、『4人用の食卓』は主人公が幼い時に経験した悲劇的な家族史を、『アカシア』は幼い子供を養子にしてから、家族内で繰り広げられる事件を描いている。『鏡の中に』の女性主人公は連鎖殺人事件が姉の死と関係があることが分かるようになる。『狐の階段』は女子高生たちの間の話を取り上げたが、家族のように親密な関係で起ることを素材にしている点では、それほど変わらない。

延世(ヨンセ)大学心理学科の黄相旻(ファン・サンミン)教授は「家族は個人を保護する役割を果たすが、個人が成長すれば独立しようとするので、その過程での葛藤は悲劇を生んだりする」と話す。

家族という素材は、観客が実際に暮らしている空間を背景とするため、リアリティーを活かすことができる長所がある。

趙熙文教授は「観客が『私にも起こりうる事』と思えば、恐怖の雰囲気を助長しやすい。殺人魔が100人を殺すより、自分の家族が1人を殺すという想像がもっと怖いではないか」と話した。



skkim@donga.com