オリアナ・ファッラーチは、世界的な権力者との挑戦的なインタビューで有名なイタリアの女性ジャーナリストだ。彼女はインタビュー途中に相手に食ってかかったり、荒っぽい行為を誘発したりする。中国の指導者・頳小平とのインタビューの時だった。嫌がる質問を投じると、彼の語調が荒くなった。「あなたは、お父さんもそうするか」。ファラーチは「もちろん」と答えた。問答は続く。「お父さんにそうしたことがあるのか」。「はい」。「そうですか。お父さんはあなたの頬をなぐりましたか」。「いま私の頬をなぐりたいのでしょう。殴ってもいいですよ。その通りに書きますから」。頳小平は「ほう」と言って笑ったという。
◆権力者とのインタビューには、障害が多い。事前に質問の原稿を見て答えにくい部分は省くように要求することもあり、事前にこのような質問はしないと約束をしてインタビューを始める場合も多い。現場の威圧感のため、準備した内容を十分に質問できない場合もある。しかし老練なインタビュアーは怖じけることはない。そのような状況に振り回されず、一つずつ服を脱ぎ捨てるように驚くべき事実を引き出し、権力者の政治意図を見抜くのである。
◆韓国の場合、1年に数回、大統領と大統領府担当記者との会見があるが、いつも通り一遍だ。ほとんど事前の脚本通りに進められるため、不十分な点についての補充質問が難しく、鋭い内容もほとんど出てこない。金泳三(キム・ヨンサム)、金大中(キム・デジュン)政権時代には、記者団が会議で作った質問内容が事前に大統領府側に伝わっているというのが公然の秘密であった。朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の時は、脚本に従って進めても、1時間ほど遅れて放送する場合が多かった。誤った内容があった場合に調整するためだ。このため、野外会見の際、放送は晴れていたが実際は雨が降っていて、視聴者がおかしく思ったこともあった。
◆一昨日の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の「土地疑惑」の記者会見に対して、核心をついていないという指摘が多い。記者たちの質問がすっきりせず、十分に追及できなかったというのだ。記者らは「決められた順に7人だけが質問できるため、そうなった」と不満を言っている。大統領が「もう質問はないか」と聞いたが、決められた通りにする慣行のため、誰も立ち上がって鋭い質問を投げかけることができなかった。それが問題となるや、大統領府が、来月の就任100日会見からは誰でも質問できる形式に変えるという。「権力者とインタビューする時は、度胸が必要」と言ったファラーチの言葉を誰が実践するか楽しみである。
宋煐彦(ソン・ヨンオン)論説委員 youngeon@donga.com