Go to contents

[オピニオン]変身の美学

Posted June. 01, 2003 21:57,   

한국어

バレエの名作「白鳥の湖」で白鳥を演じる踊り手は、いずれも女性たちである。こうした固定観念を打ち破り、男性のダンサーが白鳥を演じるダンスミュージカル「白鳥の湖」の国内公演が話題を呼んでいる。振付で著名な英国のマテュー・ボンがプロデュース、ATMという団体が公演する作品の中で「雄の白鳥」たちは、筋肉質の上半身をさらけ出し、羽飾りのタイツを履いて、時には強烈な身振りで、時にはそそっかしくて滑稽な踊りで観客を虜にしている。2人で踊る「パドドゥ」や群舞など、激情的でかつ絢爛なバレエテクニックと現代舞踊が織り成す破格とを披露した。幼少時代、白いトゥトゥ(tutu)を身に纏った白鳥を夢見て、バレエに心酔した経験を持つ私の目には、衝撃的と言わざるをえなかった。

◆この作品の中の白鳥は、王子の保護本能をくすぐるか弱い白鳥ではなく、カリスマに満ちている。王子の現実を慰める安らぎの場となっている。白鳥は、悪い白鳥たちの攻撃から王子を守る。至純な愛の力で変身を遂げた白鳥は、死という自己犠牲の道を選ぶことになる。軟弱な王子を愛するどころか、冷たくあしらった王妃は、白鳥の後を追って死んで行った王子を見て、ようやく自分の過ちを悔やむ。白鳥の胸に抱かれ安らかに眠る王子は、最後に白鳥のこのような変身を合理化している。

◆白鳥の変身は無罪である。従来のイメージを打ち破る豊かな想像力を駆使して、チャイコフスキーの勇壮かつ力強いメロディーを解釈し直している。ところで、もしも振付師のマテュー・ボンが「変身の変身」を試みて、いつものか弱い白鳥に戻るような振付をしていたとすれば、どうなっていたことだろう。他の白鳥との差別化もできなかったばかりか、氏が築いてきたこれまでの名声は、一夜にして崩れてしまったかもしれない。氏は、チャイコフスキーの音楽を繰返して聴くことを1年間続けた努力の末、ひらめいたという。「雄の白鳥」は「力強さと美しさと自由」のシンボルとして誕生した。これからは「マテュー・ボン流」の白鳥で勝負しなければならないのだ。

◆盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は、対外政策での変身を図っている。韓半島における安保の礎石を固めるという意味から、韓米の同盟関係をゆるぎないものにするため、訪米期間中の変身的言動が注目を浴びた。支持層が変わるかもしれないという憂慮の声が出るほど、国益のための選択のように映った。戦略的な破格だったわけだが、変身として一応成功したと評価されたいとすれば「変身の変身」を警戒すべきだ。対外用と国内用に分けて発表され、また解釈されるとすれば、どちらからも信頼を失う結果を招くはずだ。韓日首脳会談に向け、訪日を控えている盧大統領は「変身の美学」を悟るべきであろう。

安仁海(アン・インへ)客員論説委員(高麗大学教授) yhahn@korea.ac.kr