一瞬の油断がもたらした結果だった。
11日、ボストン・レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークで行われた金炳賢(キム・ビョンヒョン、24)のホーム・デビュー戦。4回まで、ナショナル・リーグチーム打率トップ(0.289)を誇るセントルイス・カージナルスの最強打線を2安打無失点で食い止めた。
直球の最高球速は140kmほどに過ぎなかったものの、特有のバラエティーに富んだ変化球と優れた緩急調節が功を奏した。初回2死以降のジム・エドモンズから4回のアルバート・プーホルスまで、連続して9人の打者に安打を許さなかったほどだ。
しかし、2—0でリードしていた5回に流れは変わった。先頭打者エドガー・レンテリアが2塁打を放ち、その後のセンターフライで1死3塁となり、初めて危機を迎えた。金炳賢は、8番マイク・マセニーをライトフライで処理し失点の危機から逃れるかと見えたが、かえってこれが火種になった。2死で油断したためか、次のオーランド・パルメイロには警戒を緩めた。
2ストライク1ボールの状態で内角を攻めたの1打点タイムリーヒットにつながった。その上、内野安打とエラーで2、3塁まで進塁を許したあと、J.D.ドリューに痛切の3ランを浴びた。
もう少しで勝利投手の権利を得るところで、しかも2死後に奪われた点数だけになおさら惜しみは多かった。金炳賢は5回まで投げ、ルディー・シーネズにマウンドを渡した。5イニング無四球2奪三振6安打4失点。アメリカン・リーグでの平均自責点は6.60と悪くなった。
投球数は87に過ぎなかったが、レッドソックスのグレイディ・リトル監督は、金炳賢が8日にミルウォーキー・ブリュワーズ戦で、中継ぎで2回を投げたことを考慮し早期交代させた。
金炳賢は、「序盤からあまり体調が良くなかった。攻撃的なピッチングで投球数を減らそうとしたが、思うままにいかなかった」と話した。先発と中継ぎを兼ねているハードなピッチング・スケジュールの影響と見られる。彼はトレード後1日目からレッドソックスに合流し、11日間先発と中継ぎをそれぞれ1度ずつ消化した。
金炳賢は8回にレッドソクズが同点まで追いついたお陰で敗戦投手にはならなかった。67年のワードシリーズ第7戦以来36年ぶりとなった両者の対戦は、カージナルスが9—7で勝利した。
金相洙 ssoo@donga.com