改革性向のイランのハタミ大統領(写真)政権が、反政府デモの拡散に続き、核開発疑惑が国際社会の審判台にのぼるなど、内外の挑戦に揺れている。米国政府内でも対イラン政策をめぐり、強硬派と穏健派の間で議論が起こっている。
▲イランの核協定違反〓国際原子力機関(IAEA)は、16日に定期理事会を開き、最近議論が起こっているイランの核開発計画をめぐる5日間の協議に入った。IAEAがイランの核問題を正式の案件として扱うのは、今回が初めてのこと。
AFP通信によると、エルバラダイ事務総長は、2月から5ヵ月間に渡って実施したイランの核査察の結果について「イランが核不拡散条約(NPT)の義務条項を守っていない」と報告するという。
このため、理事会はイランに対し、より持続的で強力な査察を求める決議案や共同声明を採択するか、予告なしの核査察を受け入れることを求めるものとみられる。
AFP通信が入手した報告書の草案によると、イランは91年に中国からウラン1.8tを輸入したにもかかわらず、届け出なかった。
▲米国内の強硬派と穏健派の対立〓米国は、対イラン政策において、優先順位と方法をめぐり、激論を繰り広げている。米紙ワシントン・ポストは、15日付で「パウエル長官の国務省は、イラン指導部の改革派との対話による解決に焦点を合わせている一方、ラムズフェルド長官の国防総省は、権威主義的なイラン政権を揺るがし、弱体化させる案の模索に重点を置いている」と報じた。
国務省などの穏健派は、94年の米朝枠組み合意をモデルに核と経済支援を交換する案を検討したが、チェイニー副統領とラムズフェルド長官ら強硬派の強力な反対にぶつかり、物別れになったと同紙は伝えた。
強硬派らは、イランの民主化と核開発阻止に向け、イラン政権を弱体化させる多角的な政治、軍事、外交的な案を講じなければならないと主張している。
米議会の一角からも、イラン民主化法を推進して、イランの民主政権樹立に米国が直接乗り出さなければならないという動きまで起こっている。
これと関連して、ブッシュ大統領が15日にイラン内の民主化デモについて「『自由なイラン』に向けてイラン人が主体的に始めたことであり、肯定的に考える」と言及したことが関心を集めている。
▲イランの2元的権力構造〓米国政府が対イラン政策をめぐって葛藤(かっとう)する理由の一つは、イランの2元的権力構造にある。行政府は国民投票で選出される大統領(任期4年)の指揮を受けるが、司法部は宗教指導者らが89年に選出した最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ氏の指揮を受けている。最高指導者は終身職で、最終的な権限は最高指導者にある。
このため、改革開放を推進する民間指導部と宗教的伝統を固守しようとする聖職者らの葛藤で、イランは混迷を繰り返している。これまでハタミ政権を支持してきた学生たちは、改革の成果が遅々として進まないため、ハタミ政権の退陣まで主張しており、ハタミ政権の基盤が弱まっている。
洪銀澤 euntack@donga.com