これまで「親労働界」のイメージを見せていた政府が、鉄道労組の座り込み現場に警官隊を電撃的に投入するなど強硬対応に乗り出したことで、政府の労働政策の変化と関連して関心が集まっている。
ところが、これに対し労働界が「盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の労働政策が終りを告げた」と表現しながら対政府闘争を宣言しており、労—政間の正面衝突の兆候が現れている。
▲労働政策の基調に変革か〓政府は、労働政策の基本方向として「社会統合的な労使関係」を打ち出し、ストなど集団行動については「対話と妥協」を通じて解決するとの原則を設けている。
もちろん「不法必罰」も強調しているものの、先月の貨物連帯所属車主たちの集団行動など不法行為については、事態終了後に首謀者を逮捕するのに止まっただけで、公権力を動員したことは一度もなかった。
ところが、今回の鉄道労組のストに対しては、政府が25日、一度だけ対話に応じただけで、これといった交渉もないまますぐに強制解散に踏み切ったことから、労働政策の重心が「法律と原則」に移行する引き金ではないかとの分析が出ている。
建設交通部(建交部)の崔鍾璨(チェ・ジョンチャン)長官は、3回に渡る談話発表を通して鉄道労組の不法性を強調するとともに、強硬な処罰方針を明らかにしており、労働部の権奇洪(クォン・ギホン)長官も「鉄道のスト問題で、これ以上対話と妥協だけに頼ることはできなかった」と語った。
全国経済人連合会(全経連)の李圭煌(イ・ギュファン)専務は「不法行為に対し公権力を行使して国の綱紀を正すのは、政府の責務だ」としながら、「この際、強力に対応しなければ、我々が7年間維持してきた国民所得『1万ドル』の座を失う恐れがある」と述べた。
▲対政府闘争のレベル〓全国民主労働組合総連盟(民主労総)は声明を通じて「盧武鉉政権が、発足から4ヵ月で財閥と保守勢力に押され、改革政策を放棄した」として「これに対抗して、鉄道労働者らとともに、強力な対政府闘争を繰り広げる」と述べた。
民主労総は28日、ソウル汝矣島(ヨイド)の国民銀行の前で「武力鎮圧を糾弾する大会」を開き△鉄道大乱の解決に向けた対話△鉄道構造改革法案の国会における強硬処理の中止△建交部長官の辞退△連行者の速やかな釈放——などを求め、段炳浩(ダン・ビョンホ)委員長ら指導部は、座り込みに入った。
民主労総は、これまで連盟ごとに展開していた賃金および団体協約関連闘争を、政府の改革後退に焦点を当てて進めることにした。今回の事態の当事者である鉄道労組も、業務復帰命令を拒否し30日、警官隊の投入に対する糾弾集会を、各地域団体と連帯して開催することにした。
しかし、労働界が実際に強力な対政府闘争を繰り広げられるかは、未知数だ。
「夏闘」で核心的な役割が予想されていた現代自動車労組が24日、ストの賛否を問う投票で低い支持に止まったうえに、28日の産業別労組の転換投票も否決され、かなりの部分において活動エンジンを失っているからだ。
▲法制度の改善に支障の恐れ〓6月の臨時国会での立法が霧散した、週休2日制関連勤労基準法の改正はもとより、労使政委員会本会議の案件として上がっているパートタイム労働者の保護、退職年金制の導入と公務員労組法案の立法などについて、労働界が非協力的に出る可能性が強い。また、労使関係法制度と慣行、意識の先進化を目標にしてこのほど稼動し始めた、労使関係発展推進委員会も、跛行を余儀なくされる見通しだ。
鄭景駿 news91@donga.com